ちょこっと会話集(その4)


 クリス達が『フェンドレイク』を狩りに行く道中での会話……。


「師匠。そう言えば『竜宮国』がこの大陸に来ましたね。飛んでる姿をまじまじと見ましたけど……あれを倒せるなんて嘘、子供でもつきませんよ……」

「あら、私の自慢を嘘だと言うの?」

「そうですよ!現実的に考えておかしいですよ」

「……しょうがないわね……そんな馬鹿な貴方に昔話をしてあげるわ」


 ◇

『竜宮国』……巨大な竜の上にある国を指すのだが、巨竜の方に目が行きがちで、皆あの巨竜の名称だと勘違いしている。その巨竜の背は龍人の生まれの地とされている。

 しかし遥か古代の時代に、一部の龍人達が地上に憧れ、地に降りようとした。しかしかの巨竜はそれを許さず、巨竜と龍人の決闘が行われた……。

 最終的に勝利したのは龍人であるが、完勝とは言い難い勝負であった……。巨竜は怪我を負い、再起不能になる寸前で、なんと体の一部を自身で崩壊させ余剰となった魔力を使い、周囲を跡形もなく消し飛ばした。

 飛ぶのが遅れた龍人は粉微塵となり、繁栄していた竜宮国も半分程が崩壊したとされている。そして唯一残った龍人が後のへザトールとなった……と言う伝承がある。


「……と言うわけで殺せる見込みは無くとも、倒せる可能性はあるのよ」

「でも今までに倒せたのは、へザトールのご先祖様だけでしょう?」

「いいえ。もう一人、人間の勇者に負けたことがあるらしいわ」

「勇者ですか……全部デタラメな寓話ばかりじゃないですか〜」

「でも私の家の伝承よ〜確信はないけど」


 神話並の話ばかりで正直信用はしてないクリスだが……横の奴はそうでもないらしい……。


「すげえ〜!姉貴の御先祖はそんなすごいんですね!」

「そうよマーナちゃん。今はそんな威厳を微塵も感じられないけど、元は凄い生まれなのよ〜」

「クリスとは大違いですね!」


 ムッとするクリスだが、今更トーランドをバカにされても、少なからず怒りは感じなくなってきている。


 かくして、三人は森の中へ入って行くのであった……。

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なびく旗と歩く騎士〜追放貴族の英雄譚〜 ふわとろオムライス @huwatoroomu

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