「今、私たちが生きている世界」を深く考えさせるSF作品
- ★★★ Excellent!!!
もし、人が自分の身体で酸素を作れるようになったら?
温暖化は解消されるかもしれない。
でも、倫理的な問題は?
世の中は単純じゃない。
こっちが引っ込めばあっちが出てしまう。
この作品を読んでいると、そんな思いが湧いてきて、深く考えさせられてしまいます。
たとえば、光合成ができるようになっても、必要以上に植物化が進んでしまう人がいます。
主人公のサイカは「緑化抑制剤」を開発しますが、まだまだ臨床試験中。
薬の被験者との交流が丁寧に書かれていくなか、「あなたはどう思う?」と作者様に問われているような気分になってしまいました。
こんな重厚な作品、なかなかないのではないでしょうか?
重いテーマにしっかりとした科学的な知識。
読み応えばっちりの、とても面白い作品です!