呪いと祝い。紙一重の礀を笑いながら爆走!

とても酷い目に遭ってしまった主人公。
明日は自身の誕生日。ささやかな、それで
いて大切に温めてきた 希望 は急転直下
 失望 となる。ショックも大きかったに
違いない。

 それがどうした事か、一夜明けると。

街の様子が一変する。誰も彼もが自分の
誕生日を祝ってくれる。

一体、何の『呪い』なのか。いやこれは
『祝い』だろ。

見ず知らずの人々から「おめでとう」の
言葉をかけられる。それは素直に嬉しいが
矢張り解せない。『祝い』は更に加速して
遂には彼の生活にも侵食して行く。

その過程が、微に入り細に入り面白い。

細かい描写にも決して手を抜かない作者の
卓越した笑いのセンスを見る。それは
物語自体に緩急を齎すと同時に、読み手を
魅了する。そして絶対に笑わされる。

  だが、ふと我に返って考えるのだ。

この主人公は『呪われた』のか、それとも
『祝われた』のかと。


ともあれ誕生日は、めでたい🎉
  とても良い作品に出会えたと思う。

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