呪いと祝い。紙一重の礀を笑いながら爆走!
- ★★★ Excellent!!!
とても酷い目に遭ってしまった主人公。
明日は自身の誕生日。ささやかな、それで
いて大切に温めてきた 希望 は急転直下
失望 となる。ショックも大きかったに
違いない。
それがどうした事か、一夜明けると。
街の様子が一変する。誰も彼もが自分の
誕生日を祝ってくれる。
一体、何の『呪い』なのか。いやこれは
『祝い』だろ。
見ず知らずの人々から「おめでとう」の
言葉をかけられる。それは素直に嬉しいが
矢張り解せない。『祝い』は更に加速して
遂には彼の生活にも侵食して行く。
その過程が、微に入り細に入り面白い。
細かい描写にも決して手を抜かない作者の
卓越した笑いのセンスを見る。それは
物語自体に緩急を齎すと同時に、読み手を
魅了する。そして絶対に笑わされる。
だが、ふと我に返って考えるのだ。
この主人公は『呪われた』のか、それとも
『祝われた』のかと。
ともあれ誕生日は、めでたい🎉
とても良い作品に出会えたと思う。