古道具の目を通して見る人々

 繊細な描写に、自分も古道具たちと同じように蚕の市に並んでいるような錯覚を覚える。店主と客のやり取りを眺め、その持ち主の人生を垣間見ているようだ。

 物語の視点であり主人公は”もの”である古道具たち。だが、その目を借りて観るその時々の主の生活がまた楽しい。
 長い時を生き達観した考え方を持つ古道具。自身の主はこの人であってほしいと願う古道具。彼(彼女)らは話すことも、自分で移動することもできないが、そこには人間への嫌悪や呆れ、愛情があるように思う。

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