おとうとと、わたし

 おうちに、おとうとがきたの!

 わたし、おねえさんになったのね!

 おともだちが、みんなあつまってくる

「さわってもいい?」って

 わたしは「いいよ」ってこたえる

 うちのおとうとは、かわいいんだから!

 そしてわたしは、そのおねえさん!

 ふふん、うふふふふ

「なにニヤけてんの? ヘンなのー」

「ヘンとは、なんだー!」

「にげろー!」

「まてぇー!」


 わたしが、おかおをじっと見てると、おとうともじっと見てくる

 おめめがビー玉みたい

 ころころ、キランって

 なにかんがえてるんだろう

 じーっ

 おめめの中にわたしを見つけた

 あっ、わらった

 ケラケラわらうと、ビー玉がミカヅキになる

 かわいい、かわいい、わたしのおとうと


 おねえさんだから、おせわだってできるよ

 おかあさんのかわりに、ベビーカーをおせる

 おしながらスーパーではしったら、おとうさんにしかられたけど……

 おへやで、ねがえりして、ないてたら、ごろんってもどしてあげる

 おもちゃが、とれなくて、ないてたら、わたしてあげる

 おねえさんだから、しかったりもしないとね

 あ! カーテンをひっぱってる! そんなことしちゃダメなんだから! 

「ダメー!」

 わたしが、おっきなこえでいったら、あっ……

 ないちゃった……

 あれ……あれれ……どうしよう……

 わたしも、なんだか、なきたくなってきた

「うぅ、うわーん」


「あらあら、おねえちゃんまで。どうしてないてるの?」

 どうしてわたしは、ないてるんだろう

 大すきなおとうとに、おこっちゃった

 おこっちゃったから、なかせちゃった

 だからおとうとは、わたしを……

「だって……だってぇ……きらいになっちゃったかもしれないぃ」

 ないてるわたしに、おかあさんは「そんなことないよ」ってなでなでしてくれた

 そんなこと、ないのかな

 ほんとう、かな

「ほらね」っておかあさん

 おとうとは、わたしを見て、またケラケラわらってる


 ──あたま、なでなで。

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青草の種箱 青草 @aokusa

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