▼創作総合編

2-1 プロットの話

この項目の最初は、「視点」か「構成(法)」の話をしようかなという予定でした。

ちょっとした事情により、今回は、先に「プロット」の話をしてみようかと思います。「構成」の話からちょっと切り出してきた感じです。


【今回の内容】

(1) 「プロット」とは?

(2) 「プロット」は必要か、不要か?

(3) 手書きか、デジタルか?


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1 「プロット」とは?

何かを話しはじめるのには、まずどの枠で語るか、というのが重要です。

という訳で、まず今回テーマとした、「プロット」の定義をさらりと眺めてみます。


「プロット」とは時間軸で並べられた「ストーリー」を、因果関係で組み直した設計図。


ここで「ストーリー」という言葉が登場しました。


「プロット」と「ストーリー」の区別については、イギリスの小説家・フォスターの説明が有名です。

『小説とは何か』(1969年)における説明をざっくり纏めますと、


【ストーリー】(前後関係を述べる)

 国王が亡くなった。そして王妃が亡くなった。


【プロット】(因果関係を述べる)

 国王が亡くなった。そして王妃は悲しみのあまり亡くなった。


となります。


出来事の因果関係を述べた「プロット」を集めたものが「トリートメント」となります。

もう少し詳しくに言うと、「トリートメント」は、物語の設定、展開(対立・衝突)、解決を短編小説として要約して書いた文章です。


日本では、この「トリートメント」を「プロット」と呼んでいます。

ということで、ここで言うところの「プロット」も、この意味となります。



2 プロットは必要か、不要か?


大学でお世話になった師匠は、研究を料理にたとえられました。

確か、ラーメンを例に挙げていらっしゃったと思います。


具材をそろえて、どう調理して、どう見せるか。


具材は何を研究対象とするかという、まさしくネタ。

調理は、集めた材料をどう扱い、何を、どう論証するかという過程。

器はテーマと研究範囲。

盛り付けは、それらをどのように見せるか。

一連の過程の中に、いかに自分「ならでは」の旨味をきかせるか。


それが、研究に於いてもっとも重要な“オリジナリティー”になるのでしょうが。

これは、小説を書く際にもいえることだと思います。


具材は物語を語るために必要な様々な設定やモチーフ。

調理は書き方や構成といった「いかに物語るか」という過程。

器は主題やジャンル。

盛り付けは、言葉遣いでしょうか。


……すると、プロットは、料理で言うなれば、レシピでしょうか。


さて。

お料理って、レシピ通りに作る場合と、

レシピ無しに作る場合があると思います。


長い時間を掛けて、試行錯誤を繰り返して作り上げられた、

とっておきのレシピに沿って作る料理。


レシピ無しに、どんな料理ができていくのか、

気分に任せて、その場の材料に合わせて、

おいしいか、そうでないか、

ある意味ギャンブルのように作っていく料理。


食べる側(読者)からすれば、

「おいし(おもしろ)ければ、どちらでもいい」というのは、当然。


が、醸し出す味わいは、また違うかもしれません。


レシピに沿って作る料理は、ある意味安心感があります。

ある程度の、品質保証みたいなのがあるでしょう。

そして、よく練られたが故の完成度があるでしょう。


(勿論、レシピがよろしくなければできあがるものも……なのは言うまでもありません※自戒を込めて)


一方、レシピ無しに作る料理は、

どんなものができるのか?という、わくわくがあります。

とんでもない物ができるときもあれば、

型に沿って作っているだけでは、

思いもかけないような、おいしいものができたりもします。


どちらが自分に合っているか。

書きたいもの・ことによっても違いましょう。

どんな効果を狙うのかにもよるでしょう。

気分でも、変わるかもしれません。


残念ながら、センスがないのを、十分に熟知している、

かつ、私のように「書きすぎてしまう」人間には、

脱線し過ぎずに進めていく道しるべとしては、

あったほうが、やはり書きやすいのは確かです。

それに、駄目なのはプロット段階で分かることも多いですし……。

修正もしやすいです。


(プロット必要不要論の中には、「書き出す」か「頭の中だけで考えているか」の問題も紛れ込んでいるような気もします)


因みに、私は、時間内に規定字数以内で文章を書き上げる必要性に迫られることが割と多いので、

書き漏らしが生じないように、

書く内容のアウトラインを作って書くのが習慣になっています。

それもあって、なおさらプロットがあった方が書きやすい、

ということになっているのだと思います。


因みに、現在更新中の『昊国秘史〈巻二〉』は、前半はほぼプロットなし、後半はプロットありで書いてるハイブリッド、ですかね笑


最近更新ペースが上がったのは、プロットという、書く目標点ができたというのはあります。



3 手書きか、デジタルか


プロット含め、アイディア出しは基本的に手で行っています。


手で書く行為は、脳の働きに関連しているという研究が、

つい最近も話題に上がっていました。


手書きは、脳を活性化させ、記憶力を向上させ、

創造性や発想しやすくなる、……などの効果が報告されているようです。


お話の中で、特にターニングポイントになりそうな事件は、

案は10~20案くらい出してみたりすることもあります。

多いときはもっとかな?


でも、勿論、全部ではないです。

特に重要な所だけです。


あとは、考えあぐねた時にもそうします。

こう言うときは、思い切って沢山案を出してみます。

一回、100案にチャレンジしたこともあります。流石に大変でした……。

でも、出し尽くした先で、ふっと、「これだ!」というのが思い浮かんだりします。


そんなときに付箋は結構、役に立ちます。

貼り替えも簡単です。

色々なサイズのものを常にストックしています。


余談ですが、

現代のように、パソコンで、随意に書いたり消したり付け足したりできる書き方と、

かつてのように、紙とペンとで前から後ろへと書いていった書き方と。

脳の使い方、使われ方、考え方とか、まるで違いそうだなあ……なんて。



最後に、今回の内容をまとめておきます。


―○。.○。.○。.○。.○。.○。.○。


【まとめ】

(1) 「プロット」=物語の設定、展開(対立・衝突)、解決を短編小説として要約して書いた文章

(2) 「プロット」は料理でいうところのレシピ。

  完成度を狙うならレシピ(プロット)有り。 

  何ができるかな?を楽しむならレシピ(プロット)無しなど、時々で選んでもいいかも。

(3) アイディア出すのには手書きがいいかも。


○。.○。.○。.○。.○。―――――――


熟々書きましたが、

まあ、あくまで「私は」ということなので……(^^;)


皆様はいかがですか?

プロットは勿論、

アイディア出しの際の工夫などあればご教示くださいませ。


以上です!

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嘯月筆記 @xiaoye0104

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