爆弾女

 圭太は、優しい。

 

 もう、隣にいるだけで安心感が半端ない。

 

 優しいオーラが出ているに違いないわ。

 

 

 はい…。

 

 間違いないわ。

 

 …

 

 きっとだれかがそれに気づくはずって思っていたのよね…。

 

 そして…

 ついにこのときがやってきてしまいました。

 

 そう…

 

 圭太が告白される時がやってきてしまったのです。

 

 たぶん…今月中くらいに告白されるわ。

 

 わたしの予言だとね。

 

 

 だって…わたし…この間、休み時間に知らない美少女にお尋ねされたのよ。

 

 

 いつも一緒にいるってことは、彼女さんなんですよね?って。

 

 …

 

 ええ、そうですけど?って言いたかった。

 

 

 でも、そんなことしたら…圭太の未来の彼女をわたしが潰すことになるじゃない?

 

 だから、正直にこたえたわ。

 

 

 いいえ、ただの幼馴染ですって。

 

 

 …

 

 複雑よね。

 

 残酷だわ。

 

 あぁ、いったいなんの罰かしらね…。

 

 思い当たるふしは、あるわね。

 

 

 好きな人、圭太なのに圭太兄ってウソついていたし…。

 

 

 だからって…

 

 あんな美少女を圭太の彼女にばってきするなんて…

 

 神さまってやつは、鬼よ…。

 

 

 ん?

 

 そもそも…

 鬼と神さまって…同じたぐいなのかしら?

 

 空間は、一緒だったりするのかしら?

 

 空の上で生活する同じ部類の仲間たち?

 

 

 …

 

 

 わからないわね。

 

 年は、それぞれいくつなのかしら…⁇

 

 

 考えれば考えるほど…未知の世界だわ。

 

 

 やめましょう。

 

 難しすぎるわ…。

 

 

 って、そんな鬼とか神さまとかって場合じゃないのよ…。

 

 

 圭太に、めっちゃ美人な彼女ができてしまうって大惨事よ‼︎

 

 

 …

 

 もう、終わったわ。

 

 そのままずっと交際してゴールインってこともありうるわね…。

 

 

 おめでとう…圭太。

 

 

 わたしには、告白すらする権利もございません。

 

 

 

 

 

 …

 

 

 それから数日後。

 

 

 …

 

 

 圭太は、告白されたのでしょうか…

 

 

 …

 

 聞いたら…さ…

 

 もしかしたら…この部屋出禁になるわよね…。

 

 

 彼女できたから、もうオレの部屋に来ないで欲しい…的なさ…。

 

 

 

 

 遅かれ早かれ…出禁。

 

 もう、一生わたしじゃなくて…彼女に尽くすであろう圭太。

 

 

 そもそも…すでに圭太のお部屋に彼女がきている可能性もなきにしもあらず。

 

 

 …

 

 

 そっとカーテンをあけて圭太のお部屋を確認中…

 

 

 …

 

 

 ⁉︎

 

 カーテンが揺れてるわよ?

 

 

 何してるの?

 

 カーテンが揺れるほどあなたは…どこでだれとなにをしているというの⁉︎

 

 

 部屋で彼女と…あんなことやこんなことをしているんじゃないでしょうねー‼︎

 

 

 え?

 

 でも、待って。

 

 わたしには…とめる権利なんてない。

 

 てか、そもそもあの部屋…

 

 圭太の部屋じゃなくて、圭太兄の部屋だったわ。

 

 

 …

 

「圭太は、今…どこで何をしているの?」

 

 

 …

 

「部屋でマンガ読んでるよ?」

 

 ⁉︎

 

 圭太の声⁉︎

 

 

 わたしったら、いつのまにか圭太に電話していたわ。

 

 

 しかも…心の声ダダ漏れじゃない‼︎

 

 

「え、圭太…マンガ読んでるの?わたしも部屋…行ってもいい…ですか…?」

 

 って、恐る恐る聞いたわよ。

 

 

 そしたら、

「いつも勝手にきてんじゃん。」

 って明るく言われたの。

 

「じゃあ…今日も行くよ?」

 

「おう、毎日でもどうぞー」

 

 ってエブリデイ発言いただきました‼︎

 

 

 てことは…よ?

 

 

 まだ告白されていないのでは⁇

 

 

 これは…時間との戦い。

 

 

 とにかく圭太の部屋へ、おじゃましたわ。

 

 

 …いつも通りの圭太。

 

 

「ねぇ、圭太」

「んー?」

「もしも…美少女にいきなり告白されたらどうする?」

 

 手に汗かいて、必死の質問。

 

 ドキドキしながらこたえを待っていたの。

 

 

 そしたら圭太は、

 

「あー、たしかに先週いきなり告白されたけど、とくになにも」

 

 ってあっさり言ったわ。

 

 

 ⁉︎

 

 告白されていたのっ⁉︎

 

 そして、とくになにも⁉︎

 

 なにそれ⁉︎

 

 なんか買ってくるー?とくになにもー

 

 

 みたいなことじゃ済まされないでしょうにっ⁉︎

 

「えっ⁉︎告白されたの?あの髪の長い美少女に⁈」

 

 

「ん?あー、髪たしかに長かった。てか、なんで知ってるの?」

 

 

 …

 

「それは…彼女さんですか?って聞かれたから…」

 

「えっ⁉︎それで菜美華は、なんて?」

 

「わたしは、幼馴染ですって答えたけど…」

 

 

 …

 

「幼馴染か…。あのさ、オレ…実は…」

 

 実は…なによ‼︎

 

 その子と付き合おうと思ってるって言うんだ?

 

 だから、もうわたしにここに来ないでって言うんだ?

 

 …

 

 だから、わたしは…圭太の言葉を聞く前に察して部屋から出ようと決めたの。

 

 

「えっ…菜美華?なんで泣いてんの⁈てか、どこ行くんだよ」

 

「帰る…」

 

「…待ってよ。なんで泣くの?なんかあった?」

 

 …

 

「あったよ…。もう最後まで優しくしないでよ。ずっと引きずるじゃん」

 

「?最後ってなに⁉︎引きずるってなんだよ」

 

「圭太、彼女できるんでしょ。わたしもうこの部屋来ないよ…。だから安心して」

 

「彼女なんてできないよ。てか、菜美華がオッケーしてくれたら彼女できるけど」

 

 

 ?

 

 わたし?

 

「え?なんでわたし?」

「だって…オレの好きな人菜美華だから」

 

 

 ⁉︎

 

「わたし…?えっ?」

 

「うん、菜美華のことずっと好きでした。」

 

 

 …

 

 嬉しい。

 

 でも…わたしは…

 

 

「わたしじゃダメだよ。圭太が不幸になるもん。」

 

 圭太は、わたしの話を聞いて不思議そうな顔で

「なんで?オレは菜美華と一緒にいて不幸だなんて思ったことないし、むしろいつも楽しいよ」

 って言ってくれたのよ。

 

 やっぱり圭太は、優しい…。

 

 いや、優しすぎだわ。

 

 

「わたし…爆弾女でしょ。だから…だから圭太を幸せにしてあげられない。」

 

「え、爆弾女ってなに?」

 

「すぐお腹痛くなるし、頭だってすぐ痛くなる。それに…関節だってすぐポキポキなるし、お腹すきすぎるとクラクラになっちゃうし…。だから、わたし…圭太と一緒にいたら、圭太が可哀想で…心配ばっかりかけて迷惑病にかかっちゃうかもしれないでしょ。」

 ってきちんと伝えたの。

 

 でも圭太は、

「オレだって体調悪い時あるし、そういうときは無理しないで休めばいいじゃん。オレだってそんな燃費よくないし」

 って笑ってわたしのことを見つめたの。

 

 

「圭太…ありがとう。でもね…言ってるそばから頭痛がしてるの。だから…やっぱりわたし…」

 

「なら、一緒に少しやすも?オレが腕枕してやる!頭痛治るよ!ほら、おいで」

 

 …圭太。

 

「なら…腕枕してもらっちゃおうかな…」

 

 わたしは、言われるがまま…優しい圭太の腕の中に入りとても安心した。

 

 

「ねぇ、圭太…わたし寝ないと頭痛治らないからしょっちゅう寝るよ?」

「うん。なら、オレの専属の抱き枕ね!頭痛くなったらオレの部屋きて。すぐ抱きしめてあげるからね」

 

「うん…」

 

 

 わたしは、圭太の腕枕があまりにも心地よくて、いつのまにか眠っていた。

 

 

 圭太の温もりが心地よくてすぐに眠れて、おかげで頭痛も治った。

 

 

「圭太…ずっと腕枕してくれてたの?」

「うん、菜美華の寝顔かわいいなってずっとみてたよ?」

 

 …

 

「それは、キモいよ…でも、ありがとう」

「ん、ならありがとうのお礼にキスしていい?」

「え…」

「だって、ずっとかわいい寝顔見せられてずっと我慢してたんだよ?オレって偉くね?」

 

 

 …

 

 偉いのか?な⁇

 

 

「んー…、じゃあもう一眠りしてから考えることにする」

 

「待てないよ」

 

 チュ♡

 

 

 圭太に突然キスをされました。

 

 

「え…圭太、それは、不意打ちって言うんだよ?ダメじゃん」

「そ?なら、キスするよ」

 

「え、まだ心の準備が…っ」

 

 チュ〜♡

 

「ずーるーい。なら、わたしは…こうだ‼︎」

 

 圭太にギュッと抱きついた。

 

「おっ…、それは不意打ちすぎるだろ。」

 

「ふふ、圭太!大好き‼︎」

「うん。オレも菜美華が大好き‼︎」

 

 チュ〜♡

 

 ギュ〜♡

 

 

 こうしてわたしは、病弱ながら優しい圭太とイチャイチャするのでありました。

 

 

 

 おしまい♡

 

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幼馴染に嘘をつきました…そして、小さなことがたくさん積もってわたしの心のリュックサックは、はち切れる寸前ですがっ‼︎ 猫の集会 @2066-

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