行方不明になった日

第1話



 奇妙な事件だった。


 ある日突然、目の前から幼馴染が消えた。



 “消えた”



 そう表現するのは、時期尚早かもしれない。


 だけどそれ以外に説明しようがなく、周りの人たちはこぞって「神隠し」だとか言い始めていた。


 その知らせを受けたのは、学校が終わってからすぐのことだった。


 放課後の後、部活の帰りに友達とだべってると、母親から電話が鳴った。


 「光ちゃんそっちにいない?」


 って、突然。



 アイツなら、さっき校門から出て行ったけど?


 そう言うと、「そう…」と言って電話を切った。


 部活が終わったのは夜の8時だった。


 母さんにはさっきって言ったけど、光を最後に見たのは放課後を迎えてすぐのことだった。


 大体5時くらいか?


 ホームルームが終わって、階段を降りて。


 体育館に向かう道中に、光が歩いているのが見えた。


 別になんともない光景だった。


 光は部活に所属してなくて、帰宅部だった。


 この時間になるといつも家に直行してた。


 学校に残るわけでもなく、ただ、1人で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君がいたこの町で 平木明日香 @4963251

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ