美しさと恐ろしさ、哀愁を感じさせる良作

一万字の短編で、ここまで読後の余韻が残る作品が他にあっただろうか?
これぞファンタジーという世界観だが、まるで大人向けの絵本のようなストーリーがきらめきを放つ。
色とりどりの宝石、美しい精霊、自然描写などと対比する人間の欲…。宝石獣の悲しい謎に至るまで、読者の心をひきつけてやまない。
読了後におのれの在り様を考えさせるところは、ライトノベルの域を超えて純文学と言ってもいいのではないだろうか。
まだ読んでいない方は、ぜひ不思議で素敵なこの作品の世界観にしばし浸ってみていただきたい。

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