██掲示板
翡翠
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♢♢♢
ある晩、私はネットサーフィンをしていて、「██掲示板」と呼ばれるサイトに辿り着きました。
怪談や都市伝説やオカルト、数多く投稿されているその掲示板を私は興味本位で覗く事にしたのです。
ある投稿が目に留まりました。
スレッズ名は「私の部屋」
投稿者の名前は774という人でした。
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投稿者: 774
内容: 数週間前、私の部屋で妙なことが起こり始めました。最初は、部屋の温度が急に下がったり、何か動いているような気配を感じたりする程度でした。友人たちに話しても、皆気のせいだと笑っていましたが、私は恐い感覚が消えませんでした。
ある晩、友人とオンラインゲームをしていた時、友人が言いました。
「お前の後ろに誰かいるぞ!」
振り返っても誰もいませんでしたが、彼が言った瞬間、何かが背中を撫でたのを感じました。どうやら私の周囲には何かがいるようです。
翌日、私はあまりの恐怖に耐えかね、掲示板で他の人の体験談を調べることにしました。すると、似た様な経験した人が沢山いることに気づきました。
彼らの中には、何か、取り憑かれたと語る人もいました。彼らの言葉はリアルでした。
その晩も変な気配を感じたので
「もし本当にいるのなら、何か反応してみろ」と心の中で叫びました。
すると、部屋の隅から小さな音が聞こえました。かすかな声の様な音です。
それ以降、私の部屋には確実に何かが住みついていると思いました。
ある時は、壁の向こう側から低い音が聞こえ、友人にも話しましたが、彼らは冗談として受け取るだけでした。
数日後、私はさらなる恐怖を味わうことになりました。テレビをつけっぱなしにしてうっかり寝てしまったのですが、ふと目が覚めると、画面にはモノクロの映像が映し出されていました。
紛れもなくそれは、私の部屋の様子を映した映像でした。私一人しかいないはずの部屋なのに人の様なモノがもう一人映り込んでいました。
私は夢だと思いたく、目を擦りもう一度見てみましたが、その映像は現実でした。
画面には、その人がじっとコチラを見つめている様子が映っていました。
目が合った瞬間、画面が一瞬真っ黒になり、次の瞬間、すぐに普通のニュース番組に戻りましたが、私は大量の冷や汗をかいていました。
やめて欲しいと心の中で叫んでも、何も変わらない。何が起きているのか理解できず、ただ恐怖に怯えるだけの日々が続きました。
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投稿者: 774(再更新)
内容: 私はもう無理です。この存在は私に近づいてきている。毎晩、夢の中まで現れ、私をじっと見つめてきます。
もう逃げられない。友人にも警告しましたが、私を信じてくれない。誰か、助けてください。
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♢♢♢
その投稿を見た瞬間、戦慄が走りました。
まさに私が感じていた恐怖が、彼にも降りかかっていたのです。
私の状況と重なり合っていました。
私はまだ大丈夫だろうと自分に言い聞かせようとしましたが、夜になるたびに不安が増していくのを感じていました。
数日後、ふと掲示板を覗いてみると、774の最後の投稿が上がっていました。
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投稿者: 774(最後の投稿)
内容: 私がここに書き込むのはこれが最後です。ついに私のもとに来ました。
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その瞬間、何かが背後に迫ってくる感覚を覚えたからです。まさかと思った瞬間、背後でドアが静かにギーッと開く音がしました。
振り返ると、誰もいない部屋がただ目の前に広がっていただけでしたが、
私は、理解しました。
774も私も、ただ掲示板を見ているだけの人間でした。
それは幻想だと、私は自分に言い聞かせました。
その時、携帯電話が鳴り、驚いて画面を見ると、掲示板の通知が来ていました。
新しい投稿がありました。
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投稿者:
内容: 今あなたの後ろにいます
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投稿者:名無しさん
内容: 私ももうダメなようです。あの映像に映ってる人の様なモノが来てしまったようです。この掲示板は見ないでください。助けてください。
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██掲示板 翡翠 @hisui_may5
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