秋の日帰り京都旅行
烏川 ハル
はじめに
カクヨムで「SARF×カクヨム 短編こわ~い話コンテスト」が開催されたのは、2024年2月26日から3月30日。一ヶ月と少しの応募期間でした。
『日本各地には、様々な心霊スポットや遊園地のお化け屋敷など、肝試しの場が存在します。今回SARFは音声ARを使って、地元の商店街や観光スポット、史跡、公園、広場など、普段は別の目的で利用されている場所を肝試しの舞台に変えたいと考えています』
と応募要項に書かれていたように、実在の場所を舞台とするホラー短編募集のコンテストでした。
受賞作品は音声ARのコンテンツとして配信。その点も魅力的なコンテストであり、全部で339作品の応募があったそうです。
私も色々応募したくて考えたものの、新作は執筆に至らず。結局、既存作をコンテストの募集形式に書き直して出したのが3作品でした。
最終的に21作品が受賞(大賞1作品と優秀賞20作品)となったコンテストであり、幸運なことに、私の応募作品も1つが優秀賞に選ばれていました。
なお私が応募した3作品は、作品舞台でいえば兵庫、京都、東京。その中で兵庫は自分には縁もゆかりもなく、ネットのストリートビューを見ながら書いただけ。一方、京都は大学時代を過ごした場所であり、また東京は大学に入るまでの20年弱を暮らした土地なので、それぞれそれらの記憶に基づいて書いた作品でした。
受賞できたのは京都が舞台の作品なので「大学時代を過ごした場所」という懐かしさも含めて、喜びもひとしお。そこまでは良かったのですが……。
今回avex運営のスマホアプリ「SARF」にて配信される「音声AR肝試し」は、その作品舞台となる現地まで行かないと聴くことが出来ない仕様です。そして現在の私が住んでいるのは関東。東京の隣県であり、東京駅まで行くだけでも1時間以上かかってしまいます。
関東から京都まで新幹線で往復しようと思ったら、結構な金額がかかりますよね。例えば今回、コンテストの「優秀賞」の賞品は1万円分のAmazonギフトカードでした。あくまでも「賞品」であり厳密には「賞金」ではないけれど、これを「現金っぽいもので1万円をいただいた」と考えても、それでも「関東から京都まで新幹線で往復」の交通費には全く足りません。
もしも若い頃ならば、
そもそも時間や金額の問題以外に、今の私が京都まで行こうと思った場合、健康面にも不安があるのでした。
そちらに関してはいつか改めて個別のエッセイを用意して、そこで詳しく書いてみようと思っているのですが、簡単に言えば……。
十年くらい昔に大きな病気――小説や漫画などでは死因としてもよく使われるような病気――で一ヶ月以上の入院。医師の診断書レベルでは完治したので退院できましたが、個人的には、微妙に後遺症が残っている感覚。
特に退院して二、三年の間は体調が悪くなりやすく、頻繁に横にならないといけない生活でした。連続して起き上がっていられるのが、だいたい一時間くらい。あくまでも「連続して起き上がっていられるのが」であり「一日に起き上がっていられるのが」ではないので、しばらく横になっていれば、また起き上がって活動できます。食事も風呂もそれぞれ一時間あれば終わりますし、ごくごく近所ならば外出も可能。体を動かすような趣味はもう無理だとしても、執筆活動という趣味ならば、ベッドに横たわったままノートPCで書けるので全く問題ありませんでした。
その後、この「連続して起き上がっていられるのが、だいたい一時間くらい」も「三、四時間くらい」とか「数時間」とか、少しずつ長くなり……。
今では
とはいえ、やはり遠出は心配なので、行動範囲は基本的に県内のみ。隣県の東京まで行ったのも、母親の法事という、やむを得ない場合のみでした。
そんな健康状態なので、はたして京都まで行けるのか、ちょっと心配で……。
また、先ほど触れたように今では家に犬もいるので、時間的にはこちらも問題。夜は私が相手する習慣となっており、去年の夏くらいからは、朝まで一緒のベッドで寝ているほど。
だから出かけるにしても、出来れば夜8時頃、遅くとも10時頃までには帰らないと、犬がワンワン騒ぎ出してしまう。これが帰宅のタイムリミットです。
この状況で、はたして京都まで音声ARを聴きに行けるのだろうか?
でも自分の作品が音声アプリのコンテンツとして配信される機会なんて滅多にないでしょうし、音声コンテンツ化された際、原作小説とどう変わっているのかも気になります。特に「どう変わっているのか」を確認するのは、大袈裟な言い方をするならば、原作者としては義務に近い気もする……。
そんなわけで。
本来は肝試しなので夏のイベントですが、少し涼しくなるまで待ち、また「この日ならば
その一日を利用して、10月下旬の平日に、日帰り京都旅行を敢行しました!
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