第2話 地下鉄とバスで(前編)
午前10時頃、京都駅着。
新幹線のホームに降り立った時点で、なんだか懐かしい気分になりました。
ここからは、地下鉄とバスを乗り継いで、大文字山へと向かいます。
大文字山の登山ルートは色々あるはずですが、おそらく最もわかりやすくて一般的なのは、銀閣寺の近くから入っていく登山道ではないでしょうか。
すくなくとも私の認識ではそうですし、それこそが慣れ親んだ道になります。だから京都駅から、まずは銀閣寺の近く、バス停としては「銀閣寺道」へと向かうわけですが……。
京都駅からならば、実はバス一本で「銀閣寺道」まで行くことも可能。しかしバスは色々と停車したり、少し遠回りになったりするのでしょうか。同じ「銀閣寺道」のバス停まで行くにしても、バス一本で行くよりも、地下鉄烏丸線で烏丸今出川まで北上して、そこからバスで今出川通りを真っ直ぐ東へ行く方が早い。
……というのは事前に調べてあったので、今回はそのルートを使います。
だから、まずは京都駅で地下鉄烏丸線に乗り換えです。
私のイメージでは、地下鉄烏丸線の改札口は京都駅の表玄関ともいうべき烏丸口、その地下。烏丸口から出た地下道とか地下街の中にありました。
とりあえず久しぶりの京都駅なので、適当な記憶ではなく、案内表示に従って歩いてみます。上記イメージの通り、新幹線からJR在来線に乗り換える順路で駅構内を通り烏丸口へ出て……となるのかと思いきや、そんなJR在来線に乗り換える方向の駅構内は全く通らず、南側の八条口の改札から出る形になりました。そこから地下へ入り、地下鉄の改札へ向かう格好です。
いきなり慣れない順路を歩くことになりましたが、ちょうど地下鉄に乗り換える途中にコンビニが。元々、大文字山に登る前にどこかのコンビニで昼食用におにぎりなどを買っておくつもりだったので、ここで今のうちに買いましょう。
おにぎり二つとサンドイッチを購入して、地下鉄のホームへ。しかし朝食は朝早くに菓子パン一個だけだったので既に空腹を感じており、ホームで電車を待つ間に、サンドイッチの方は食べてしまいました。
でも今のうちに何か少し腹に入れておけば、あとで山の上で食べるのは、おにぎり二つだけでも十分なはず……。
地下鉄の中では特に変わったこともなく、予定通り烏丸今出川で降りました。
京都の地名はわかりやすくて、地名は基本的に、東西の通りと南北の通りの組み合わせで示されています。だから「烏丸今出川」というのは「烏丸」通りと「今出川」通りの交差する場所という意味で、地下鉄の出口もその辺りです。
京都御所や同志社大学の近辺であり、少し南には、よく使ったコンサートホールもあります。京都に住んでいた頃は、自転車で何度も通行した地域です。
しかし、それもかなり昔の話。地上に出てみると、すっかり見覚えのない景色になっていました。
そもそも昔も徒歩より自転車で通ったことの方が多く、考えてみたらこの辺りでバスの乗り降りは経験なく、だからバス停がどこにあるのかわかりません。今出川通りを東へ向かうバスなので、とりあえず交差点から今出川通りを少し歩いてみたのですが、なかなかバス停が見つからない!
そのうちに「あれ? なんで同志社大学の敷地が、あの方向に見えるんだ?」という疑問が。同時に、ようやく気づきました。南北と東西を間違えていることに。
自分では「今出川通りを少し歩いてみた」つもりで、今出川通りでなく烏丸通りを歩いていたのです!
なんという初歩的なうっかりミスを……。自分の認識と違う方角から見ていたならば「すっかり見覚えのない景色」になるのも当然ですね。
このように地下から出たばかりのところで方角を間違えるというのは、大学一年目の最初の頃、四条河原町か四条烏丸で一度やらかした覚えがあります。あまりに京都が久しぶりすぎて、今の私は「一年目」と同じレベル。そう思えばこれも微笑ましいミスであり、改めてなんだか懐かしい気分になりました。
秋の日帰り京都旅行 烏川 ハル @haru_karasugawa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。秋の日帰り京都旅行の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
カクヨムを使い始めて思うこと ――六年目の手習い――/烏川 ハル
★209 エッセイ・ノンフィクション 連載中 298話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます