第1話 京都へ!

   

 10月下旬の某日。

 関東も京都も予報では一日中いちにちじゅう天気が良い。

 そんな旅行日和の日でした。


 家を出たのは、朝の6時を少し過ぎた頃。

 ちょう家族が犬を散歩させるのと同じ時間帯であり、途中までそれに同行する形です。


 最寄駅は普通電車しか停まらないような小さな駅なので、東京まで出ようと思ったら基本的には、途中の駅で快速電車に乗り換えることになります。

 しかし朝晩は通勤の時間帯ということで、そのまま乗り換えの必要なく東京まで一本で行ける快速電車もあり、一時間に二、三本は停まってくれるようです。

 時刻表を見ると、6時半頃には、そんな快速電車が二本続けて走っている模様。東京駅まで行く路線は複数あるため――京葉線と総武線快速――、それぞれの路線を利用する便が一つずつ、合わせて二つ続く形になっていました。

 これならば、もしも前の便に乗り遅れても、次の便も快速で乗り換えなしで東京駅まで行ける。だからこれに乗るつもりで家を出ました。


 犬と一緒に歩くので、いつもよりゆっくり。その分も見越して、駅までの時間はかなり多めに見積もっています。

 途中で犬や家族とは別れて、私だけ駅へ……と思ったのですが、私が一緒なので、朝の散歩も久しぶりに長目。犬も駅まで一緒に駅まで来てくれて、犬や家族に見送られながら改札をくぐりました。


 予定通りの快速電車に乗り、途中の駅からは座ることも出来て、順調に東京駅に到着したのが7時半頃でした。私が乗ったのは京葉線の方の快速であり、新幹線のホームどころか、一般的な在来線からも遠い――おそらく一番遠い――場所にホームがある路線です。だからネットの乗換案内では20分以上の乗換時間が見積もられており、それに従えば、博多行きののぞみ号に乗ることになるのですが……。


 かつて何度も新幹線を利用していた頃、なるべく私は、博多や広島のように遠くまで行く便ではなく、新大阪までの新幹線に乗るようにしていました。短い区間の便ならばその区間内の利用者のみしか乗らないけれど、長い区間の便ならばその分利用者も多くなり、列車が混むような気がする。そんなことを思っていたからです。

 そこで今回も、できれば新大阪止まりに乗りたい。でも一本遅らせるのも避けたいし……と思いながら新幹線東京駅の時刻表を見ると、乗換案内で推奨された博多行きのぞみ号の一本前が、同じくのぞみ号だけど新大阪行き。


 これに乗るつもりで、東京駅構内の移動は急ぎました。とはいえ、さすがに走ったりはせずに早歩き程度、また途中に「動く歩道」的な部分がいくつかあるのですが、そこは「動く歩道」上で立ち止まるのでなく歩く人も多かったので私も同様に。

 おかげで無事、新大阪行きののぞみ号に間に合いました。自由席もそれほど混雑しておらず、楽々座ることが出来て、さあ次に降りるのは京都です!


 新幹線には2時間以上乗る形になるので、ここで一眠りしておこうとも思いましたが、目を閉じても眠くはならず。

 それよりも、久しぶりの新幹線で驚いたのが、車内案内の音楽です。どうも私の記憶とは違っているような……?


 あとで帰宅後にネットで調べたところ『東海道新幹線の車内チャイムは2023年7月から変更』という記述が出てきました。なるほど、一年と少し前から新しくなっていたのですね!

 さらにネットで探すと、その変更前と後のチャイムそのものを聞き比べる動画も出てきたのですが、ここで再び違和感が。確かに「2023年7月」以前のチャイムにも聞き覚えはあるものの、私の頭の中にあった「新幹線の車内案内の音楽はこれ」というメロディーとは明らかに違う……?

 さらにさらに探すと、歴代の車内チャイムを聴き比べる動画も発見。そこには、私が思っていた「新幹線の車内案内のメロディー」も入っていました。2023年までのチャイムのさらに一つ前、1988年から2003年に使われていたチャイムだったようです。

 私が最後に新幹線に乗ったのは、2008年か2009年あたり。だから2003年から2023年のチャイムも聞いたことあるはずですが、それよりも新幹線の利用頻度が高かったのは1990年代、その後はせいぜい2003年か2004年くらいまで。なるほど、1988年から2003年のチャイムが耳にこびりついていたわけですね。


 それにしても、現行のチャイムよりも一つ前どころか二つ前が一番慣れ親しんだものとは……。

 ひょんなことから、改めて時の流れを感じてしまうのでした。

   

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