哲学で手を差し伸べる。

哲学という単語。たぶんほとんどの人が、この小難しそうな単語を自分のテリトリーから遠ざけようとするのではないでしょうか。私自身、そうでした。

この物語と出会うまでは。

本作は、哲学が好きで、かつ知識が豊富な高校生の敦くんが、容姿端麗で端からみると幸せな人生を送っていそうなクラスメイトの絵美さんが日々生きていて辛そうにしていることに疑問を持ち、自らの武器──哲学を用いて幸せにしてあげようという一風変わった物語です。

一風変わったと書いたばかりなのですが、私は唯一無二の作品だと思っています。哲学を用いて誰かに手を差し伸べようとするする斬新な設定、綿密に練られた物語の構成、物語の中で息づいているキャラクター達とどれをとっても素晴らしいものがあると思います。

何よりも哲学という大多数の人たちが距離を置くであろう言葉を、作者様が優しく噛み砕き、それも自然に物語に落とし込んでくれているので和紙に水を浸したみたいにすっと物語に入り込むことが出来ます。

心からおすすめ出来る作品ですので、気になって頂けた方は是非御一読ください。

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