アネモネ
亜月
アネモネ
1.
わたしは幸せ者だ
世界じゅうでひとりだけの
あなたに逢えて
それでいて愚かなの
「わたしはひとりだ」なんて
泣きつづけてる
メッセージを打ち込んでは消して
“違う”を繰り返している
応えを探して求めて彷徨う
ないものねだりは変われない
宙ぶらりんな両手を埋めるのは
あなたの
繋いでしまったら離す時が
すごく怖くなってしまうから
「消えたい」
その一言を掬い取って 捨てられないのは
あなたがこんなに優しすぎるから
朝焼けをみて 夜の
不安定に揺られるわたしもそうなのかな
確証のない世界のすべてをもって
あなたがわたしを繋いでくれるのならば
もう少しだけ鼓動を止めないでいよう
2.
かかっている靄をぜんぶ固めて
さよならできたらいいのに
あなたの温もりも優しさも一緒に
ごみ箱行きになってしまう
花束持ったわたしの隣にいるのは
あなたの笑顔であってほしいけど
“泣かない”
嘘の罰に腕を切って 垂れ流す愛を
夢を見たのに 記憶がすべて溶けてしまって
目の前が歪んだ孤独を知らないでしょう
尽きることのない魔力をぜんぶ使って
あなたがわたしに願いをかけたとしたら
もう少しだけ息をしていられるかな
3.
あなたがそばにいるのに 眠りについてしまう
大きく育った無表情の不安は
根を張った安堵の表紙裏
あなたがそばにいるのに なぜか留められないや
あなたの前で最期に笑えたのは
いつだったかな
びくともしない夜を動かすのは
あなたの言葉であってほしいけど
唱えてしまったら焼き付いて
眠れなくなってしまうから
「生きたい」
その一言を胸を張って 言える日が来たら
あなたはどれだけ泣いてくれるだろう
澄んだ空にも あの
いつかは終わる そうして消える前に
わたしがあなたを笑顔にしてみせるから
もう少しだけ心臓を預けていいかな
アネモネ 亜月 @Azu_long-storyteller
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