第12話 トラックを発見!

 シャッターの近くにあった穴にケースを入れてみる。お、上手いこといったみたいだ! ガラガラと音を鳴らしながらシャッターが開く。やったね!


「中に入れるみたいだよ! メカニック!」

「みたいだな。さて、何か使えるものが手に入ると良いんだがな。それと、中に入る前にケースは回収しとけよ。ラビット」

「言われなくても。だよ」


 メカニックと一緒にリサイクルセンターへと侵入する。建物に入ってすぐ目についたのは、何台も並ぶ車……だよね?


「ねえ、これ車だよね。こんな感じのやつ、地下のゴミ捨て場で見たことがある。僕が見たのは、もうちょっとスマートな感じのやつだったけど」

「こいつらはトラックっていうんだぜ。ラビット。まあ、荷物を運搬するための車両だな」

「ふぅん? これ動かせるの?」

「触ってみなきゃ分からんなあ。ちょっと待ってろ」


 メカニックはトラックを見に行って、すぐに戻ってきた。もう少し暇になるかと思ったけど、早速何かあるみたい。暇しないのは良いね。何かしてないと体がウズウズするんだもの。


「ラビット。ケースを貸してくれ。それが無いと車が動かせないんだと思う」

「ってことは、トラックにも穴があるの?」

「そういうこと。なんでもバター猫が頼りだな」

「なるほどねぇ。了解だよ」


 僕はケースをメカニックに渡す。彼はトラックの穴にケースを差し込み、すると、トラックのライトが点灯した。おお、上手くいってそうだね。順調にことが進むのは嬉いなっと。まあ、今やってることが盗みなのは、ちょっと複雑な気分ではあるんだけどね。できれば、地上世界に来てまで盗みはしたくないんだよ。


「とりあえず、車が動きそうな感じ?」

「たぶんな。お、扉も開くぜ」


 メカニックがトラックの扉を開けて乗り込んだ。運転席に座る彼の姿はなかなか様になっている。僕だと、ああはいかないね。彼の方がかっこいいのだ。


『システム起動』


 ん、何の声だ? はて?


「メカニック、何か喋った?」

「いや、車の声だろうぜ」

「車の声? 車が喋るの?」

「車に積んである機械が喋ってるんだぜ。AIって言ったかな。こいつは車を動かすサポートをしてくれるんだろうよ」

「ふ、ふぅん? よく分かんないけど、凄そうだね」

「おうさ。ちょっと色々確認してみよう」


 メカニックはエーアイとかいうものに、何か色々喋りかけているみたいだった。難しいことはよく分かんないからな。こういうことは彼に任せるに限る。


 少しして、メカニックがこちらに顔を向けた。彼の表情は複雑そう。なにか、嫌な予感がするなあ。


「ラビット。良い知らせと悪い知らせのどっちから

知りたい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎週 木曜日 18:05 予定は変更される可能性があります

バター&トースター&キャット あげあげぱん @ageage2023

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ