第19話

「どう、ですか…?」


「すげーうまい」


「良かったぁ…」



正直に感想を言うと美影は嬉しそうに笑う。


普段オロオロしている美影の笑顔は貴重で、死ぬほど可愛い。


この可愛さを知ってるのは俺だけでいいのに、とさえ思う。


昔から眼鏡をゴリ押しするのは、少しでも可愛さを隠してほしいからだ。なのに何で両目ともに視力2.0なんだよ。ふざけんな。これ以上可愛さを撒き散らしてどうするつもりだ。




「美影は腹減ってねーの?」


「あ…少し、だけ」


「へぇ…」




今の今まで心が荒れていたのに、ついニヤリと笑ってしまった。


余程黒い笑顔だったのか、美影は座ったまま後退りする。


あー…逃げようとするのを掴まえて抱きしめたい。


よーし、今日もガンガン攻めてやる。

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