第5話

特別仲の良い友人もいないので、放課後は寄り道せずに真っ直ぐ家に帰ることが多いです。


あ、スーパーには毎日寄っています。


両親は共働きで多忙のため、家事は出来る限り私がするように心掛けているのです。


とはいえ料理、洗濯、掃除、アイロン掛け等、まだまだ修行が必要なレベルなのですが。




「もうこんな時間…早くご飯作らなきゃ」




料理以外の家事を全て終え、学校の宿題も終わりました。


壁掛け時計で時間を確認してみれば18時過ぎ。ちょうどお腹も空いてきたので、これから晩御飯を作ろうと思います。


今晩のメニューですが、珍しく悩むことなく決まりました。


帰りに買った食材を冷蔵庫から取り出すと、早速フライパンで炒めます。


ジューッ、とお肉と野菜が焼ける音と共にモクモク姿を現した真っ白な煙り。それをボンヤリ見ながら考えていました。


本当は…すごく友達が欲しい。

けれど、人見知りな性格が邪魔をして中々クラスに馴染むことができません。


学校で私に話し掛けてくれるのは…

唯一、白咲くんだけ。


他の人はもしかしたら私の存在に気付いていないのかもしれません。それくらい、私は影が薄いのです。

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