第7話

ここは二階にある白咲くんのお部屋です。


ノックをして入れば、不機嫌そうな顔の白咲くんにジロリと睨まれました。



「遅い」


「すみませ…家事と宿題してて」


「ったく、腹減ってんだから待たせんなよ」




私は慌てて手に持っていたトレイを差し出します。




「あの…これ、焼きそば、です」


「ん」



これです。白咲くんがソワソワしていた理由。

焼きそばが食べたくて仕方がなかったのでしょう。

早速、夢中で頬張っています。




「どう、ですか…?」


「…うまい」




念願の焼きそばを食べることができたからか、白咲くんのご機嫌は上々のようです。


良かった…




「今日のお昼、焼きそばパン買えなくて…ごめんなさい」


「いーよ、もう。お前のトロさなんて百も承知だし」




頼まれたものを買ってこれなかった日は、ペナルティとして夕飯を作ることがいつの間にか暗黙のルールになっていました。


例えばカツサンドが買えなかった日はトンカツで、

カレーパンが買えなかった日はカレー。


心が広い白咲くんは、毎回それで私の失敗を許してくれます。

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