第14話

俺達は所謂幼馴染というやつだ。


物心ついた頃から一緒にいるのに美影は未だに敬語が抜けないし、いつまでもビクビクした態度で接してくる。そこがまた可愛い。


全然縮まらない距離がもどかしくもあり、楽しくもある今日この頃。




「あーあ。みーちゃん今日もパシリかぁ…可哀想に」


「おいこら。何がみーちゃんだ。潰すぞクソ野郎」


「どっちがクソだよ。可愛い子をパシリに使う真白のがよっぽどだろ」




ある日の昼休み。


いつものように美影をパシって教室で帰りを待っていると、前の席の佐々木がふざけた事を抜かす。


美影を可愛いなんて言う男は許すまじ、と俺の額には怒りマークが現れた。




「うるせぇ。俺は幼馴染だから特別なんだよ」


「ズルイ。ズルすぎる」




美影は俺達が幼馴染だというのを隠したいらしいけど、そんなの知ったこっちゃないんだよ。


言いふらして周りに知っといてもらわなきゃ、他の男に取られちまう。


だから俺は言う。誰彼構わずアピールしてる。


もちろん美影には内緒で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る