作品を愛してもらうこと。その2

 何度も読みたい、読み返してもらえる作品とは一体どんな作品でしょう?


 たとえ小説作法が整っていても。たとえテクニックに溢れていたとしても。

 自分はこんなに凄い小説が書けるんだぞと、小説作法やテクニックを詰め込んだ小説も確かに素晴らしいとは思うけれど……。でも?


 その作品は読者(読み専さん)に何度も読み返してもらえる作品になれていますか?

 新しい移籍先まで読者に追いかけてきてもらえるような、読者から愛される作品になれていますか?

 一度読めばサヨナラされる作品になっていませんか?


 たまに読み専さんに読み返していただける機会が私にもあります。作品をまた読み返していただけることは作家としてとても嬉しいものですよね。


 私も二年に一回はカクヨムを辞めたくなる期間が発生しますが(笑)

 もしもカクヨムを辞めて他のサイトに引越ししますとなった場合、他サイトに行っても追いかけてきて読みに来てくださる読み専さんは何人いる?

 どれくらいの読み専さんの人数が思い浮かびますか?


 あの人とあの人は読みに来てくれるかな、でも自信ないな〜、何人が引越し先まで追いかけてきてくれるかな〜。


 最後はやはり作家の人柄の問題にもなりますね。

 有事の際に他者が駆け付けてくれるような人柄かどうか。読者から「どこのサイトに行ってもあなたの作品を読みに行きます」とお声がけしていただけるような作家かどうかが問われます。


 私はカクヨムで作品が公開停止になったことがあります。その時、近況ノートにコメントをくださった読み専さんがいらっしゃいました。

 その方はあまり積極的なリアクションをされるタイプの読み専さんではなかったので、コメントをいただけて私も驚きました。きっと落ち込む私を見かねて、コメントを残してくれたんだと思います。


「大好きな作品です。応援しています」その言葉にあの時どれだけ救われたか。公開停止については褒められたものではありませんが、カクヨム上での人と人の関わり方においては真面目に丁寧にやっていて良かったなとこの時は思ったものです。

 作品のコメント返しひとつとっても、けっこうね、他の作家さんや読み専さんに見られているものなんですよ。

 コメントの返信に作家の人柄が出るから私も他作品を読む時はコメントの返信欄をチェックしてしまいます。


 読書は手軽にできる暇つぶしです。そうではない人もいますが、大半の読者さんが日常のちょっとしたスキマ時間に、あるいは休日の昼間のベッドの中、午後のコーヒーとお菓子をお供に、日常を忘れさせて非現実に連れていってくれる物語を求めてカクヨムや魔法のiらんどのページを開いていると思います。

 だからイケメン溺愛が流行り、巨乳美少女が流行り、男女ともにファンタジー系が流行る……なんですよね。


 段落の字下げや三点リーダーやダッシュの使い方、基本的な小説作法としては「なっていてない」作品だとしても、読者にとって最も大切なことは小説作法でも高度な文章テクニックでもない。


 読む際に作品に何を求めるかは人それぞれありますが、私は「また読み返したい作品かどうか」ですね。


 小説作法がきちんとして綺麗に体裁の整った作品であっても、一度読んでサヨナラな作品もあれば、作家視点で見れば小説としてのテクニックが未熟な点は否めない、でもなんか惹かれてまた読み返したくなる小説もあります。


 魔法のiらんどは作家さんと読者さんが和気あいあいとした雰囲気で、らんど作家さんのSNSでは作品キャラのショートストーリーや小話を披露されている作家さんもいらっしゃいます。

 らんど作家の方々が自身の作品で魅力的なキャラクターと魅力的な世界観を創造できているからこそですよね。


 どのキャラのサイドストーリーやショートストーリー書いて欲しい?なんてSNSで募ったアンケートには百単位の票が入っていたらんど作家さんも見かけました。これは魅力的に思われていない作品や作家なら、読者から総スカン喰らいますよ。

 あの手のアンケートは作品とキャラと作者が読者に愛されていないとできません、絶対に。


 らんど作家さん達は自分の作品とキャラをとても愛しているし、らんどの読み専さん達も作品とキャラを愛しているのだろうなと、らんど歴二年目の片隅から覗いていた私の所感でした。あの和気あいあいさは心底羨ましい(笑)


 そんな素敵な場所が消えてしまうのは私としても寂しくて、私よりも歴の長いらんど作家さん達はきっともっと寂しさがありますよね。


 相互評価を目的とした作家同士の読み合い、他者の作品の批評、最近のカクヨムでは自主企画でもそういう人達が目についていたので、純粋に読書ライフを楽しむ魔法のiらんどで私は浄化された心持ちでした。

(カクヨムでは相互評価が問題なのではなく、相互でもしないと読まれないカクヨムの作りが問題なんですよね)


 移籍先としてカクヨムが推奨されてはいても、らんど作家さんは以前からエブリスタやベリーズカフェ、野いちご等、主に女性向け小説サイトと魔法のiらんどを併用されていた方も多いそうです。


 カクヨムには行かないと表明されているらんど作家さんも数人お見かけしました。

 そりゃあカクヨムのトップページを見れば回れ右もしたくなりますよ。魔法のiらんどの作品とカクヨムの作品の雰囲気、確かに両サイトの作風は合いませんよね。


 表紙機能のあるエブリスタの方が移籍後もそのまま表紙を使えますし、エブリスタと魔法のiらんどの読み専さんも共通していそうです。わざわざカクヨムにアカウントを作らなくても、すでにエブリスタやベリーズカフェのアカウントがあるなら皆さんそちらに行きますよね。


 カクヨム内の【魔法のiらんどジャンル】もジャンル内でのランキング生成はなく、完全に隔離された扱いですし、いやいや、らんど勢への待遇悪っ!とカクヨムユーザーの私ですら驚きましたよ。


 せめてカクヨムのランキングと魔法のiらんどのランキング、カクヨムの注目の作品と魔法のiらんどの注目の作品、切り替え操作でどちらも見られる仕様とかさ〜そのくらいは整えてあげてもよかったんじゃないの?


 カクヨムに流れてくる魔法のiらんど作家さんと読み専さんはほんの一部かもしれません。その一部でもいいから、カクヨム側に来てくれると、カクヨム側の私達も嬉しいですよね。

 ……こっちに来てくれるかな?


 ねぇほら、KADOKAWA?

 読者が欲しいなら作家の待遇を良くしろよ?って何万回言ってもわからないよなー、KADOKAWA?

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『愛される作品とその作家』って何だろう? 結恵(yue) @mozukuchan

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