香りが、言葉が、あの頃の記憶を運んでくるようで

冬休み中に借りる本を探すために図書室にやってきた赤坂。図書室には同じクラスで隣の席の高木くんが居た。席に座って本を読んでいる彼を邪魔しないように赤坂はこっそりと動くのだが……。

図書室で気になるあの子とばったり。このシチュエーションは言わずもがな。本作はこの状況の良さを存分に楽しみつつ、あの頃のときめきを思い出すかのように物語へ没入することができます。

一人称視点で見る高木くんの姿や、心理描写が優しく、体の芯に触れられるような美しさがあり、心の揺さぶりが止められませんでした。

繊細ながらも力強く響くような感情表現と満足感のある展開は必見です。

素晴らしい作品をありがとうございました。