人間を管理することは、救済になるのか。

人を操る不思議なカラス、ハーブもといボッティチェリ。その愛らしさはすぐに消え去り、なんとも不気味な存在として直斗の前に幾度も立ち塞がります。

動物と人間の違いはなんなのかと問われたとき、私はすぐに答えが浮かびませんでした。
しかしその答えは、ちゃんと終盤に向かうにつれて明かされていきます。

死後の世界に行けない人間は、どこへ行くのか。
ボッティチェリのような動物たちに管理されるべきなのか。
それとも無に帰すのを受け入れるべきなのか。
その答えを直斗が示したとき、人間だからできることだなと頷けました。

物語全体に漂う薄暗い不気味さが終章でさあっと晴れていく様が心地よかったです。

ダークな世界観ですが、それだけでは終わらない本作、じっくりお楽しみください。

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