『杉沢集落に残る河童伝承』
『杉沢集落に残る河童伝承』
「杉沢集落」
『杉沢集落に残る河童伝説』
桜田川の淵には河童が棲み着いているとの噂があり、実際村では水辺に近付いた子どもたちが河童に拐われる事が相次いでいた。ある日、自分の娘を水底に沈められた一人の男が、桜田川で河童を待ち伏せていた。すると三日目の晩に、川縁から恐ろしい腕を伸ばして来る河童に出会った。男は剛強なる者で、即座に腰に下げた刀を抜き出してその腕の一本を切り落とした。すると水中から地獄の底から湧き上がるかの様な声が起こって、下流に向かって緩々と血の道筋が出来上がった。男は切り落とした河童の左腕を持ち帰り、桜田川の河童を退治したと話して大いに評判になった。そしていつまでも水を含んで干からびる事のない河童の左腕を家宝にして、自らの力を示すのに使おうと考えていた。
それから二日後、河童が男の家を訪ねて来る。河童は頭の上の皿を垣間見せながら深くそこに陳謝して、自分の左腕を返す様に求めた。だが気丈な男は河童に左腕を返すどころか、再び刀を抜いて河童を追い回し、桜田川の淵に追い払った。されど河童はそれから毎夜男の家を訪れて、深く詫び続けた。河童が言うに、切り離されて後七日を過ぎればもう骨継ぎが出来なくなってしまうのだと言う。
そして七日目の晩。その日を過ぎればもう河童の左腕は戻らぬと思った所で、男は深く頭を下げ続ける河童に情を移し、腕を返してやる事にした。そしてその際に、もう二度と村で悪さをしない事。そして「
吉川圓了【失われた集落における伝承について】(1992)より抜粋
大阪府北河内の河童のいるマンションについて 渦目のらりく @riku0924
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