本作を読み終わって、なぜだかちょっとウルッと来てしまいました。
その理由はたぶん、本作で描かれる主人公がどこにでもいそうな”ふつーの人”であり、なんかすごいご都合主義的な幸運に恵まれるわけでもない……等身大の社会人だからだと思います。
要は、すっごく共感しやすいんですよね!
私も今の職場にそれなりに長い間努めてますが、ある日いきなり何かしらの理由で解雇されたら、確かにこんな感じの気持ちになりそうだな、と。
そこまで文字数の多くない3000文字ちょいの短編ではありますが、ラストまで読むと本当に色々なことを考えさせられます。
取りあえず、温かい食事は疲れた人の心を救うのです!!
社会人、そして就活生の皆さま、ぜひご一読を……!
……余談ですが、2024年現在の大手牛丼チェーンで並盛を食べようとすると、大抵400円ちょっと、モノによっては500円近くかかります。
280円と言う安さがどこか懐かしく感じるのも、本作が泣ける一因になっているのかも知れません( ノД`)
十年以上勤めていた会社から、まさかの解雇通告。解雇通知を受け取ってから30日までは社員。あと◯◯日のカウントダウン。上司や運良く会社に残れた同僚の言葉に苛立ちを覚える日々。そして、転職先が決まらないまま最後の勤務が終わってしまう。
夜の帰り道。空腹でふらっと入った牛丼屋さん。280円。手頃な値段である牛丼並み盛りを頼んだ····。
4000文字にも満たない短編小説の中に、ひとりの男の人生の重たい1ページが描かれているのです。まるでショートドラマを観ているかのような、そんな作品。なにか超展開があるとかそういう類いのものではなく、今日は駄目だったけど明日はもう少し頑張ろうかな、という小さな希望を抱けるような、そんな素敵なお話でした。
さらっと読めるのに、あとでじんわり心に沁みてくる作品。そして久々に牛丼が食べたくなりました(笑)
皆さんも牛丼片手にぜひ♪