それは、恋だったのか。

マドレーヌを紅茶に浸した時の匂いで、幼少時代を思い出す──

ある小説のこの描写から名付けられた、匂いと記憶に関する現象があるといいます。

本作の主人公は最後に何を思い出したのでしょうか。


気安い関係の彼女に対する想いへの葛藤。少し斜に構えたい年頃の男の子が解釈した気持ちなど、三人称、硬めの文体ながらとてもよく伝わり展開に夢中になりました。

文豪、田山花袋「蒲団」のリスペクト作品、残念ながらダイジェストのみで読んだ事はありませんが、本作においては苦い青春を描いた「恋愛小説」として、とても素敵だと思いました。
オリジナルをご存知であればまた面白さも増す事でしょう。