第8話 大団円

 ここまで、たくさんの、

「悪魔の紋章」

 というのを見てきたが、

 それぞれに、

「都市伝説」

 であったり、

「七不思議」

 として言われてきたのだった。

 だが、それがどういうことなのかというと、結局は、

「村であったり、閉鎖的なものに守られてきたものだ」

 といえるだろう。

 ただ、一口に、

「悪魔の紋章」

 という広義の意味での言葉は、基本的に、

「忌み嫌われるもの」

 ということであり、だからこそ、

「都市伝説」

 ということになるのだろう。

 基本的に、

「七不思議」

 とは、同じような意味で言われているが、

「明らかな違い」

 というものが、存在しているということであろう。

 ここまで考えてくると、

「都市伝説」

 と呼ばれるものは、

「七不思議」

 の中に含まれるものではないか?

 と思えるのだ。

 つまり、それが、

「八番目の不思議」

 ということになるのか、

「七不思議」

 の中の一つになるのかということであろう。

 そういえば、七不思議にしても、

「八番目があるのではないか・」

 ということが言われたり、あるいは、

「百物語」

 というものは、

「百番目のろうそくを消さないようにする」

 ということが必要ではないか?

 と言われているということを聞いたことがあった。

 それが、

「都市伝説というものが、七不思議の中に含まれる」

 という考え方を生んだのかも知れない。

 その謂れの中に、

「悪魔の紋章」

 というものが、いかに含まれているかということは興味深い。

 実はここまで書いてきた中で、

「悪魔の紋章」

 ということで、一人の小説家が、ここまで書いてきた話と同じような作品を書いていたのであった、

 もちろん、それぞれ研究をしている人には知られていないことであったが、その作家も、同じような発想をもっていたのであろう。

 そして、その作家が活躍したという時代は、今から80年くらい前というから、

「戦後すぐ」

 くらいのことであった。

 もっとも、その前の時代というと、

「ほとんどの話が、都市伝説だったからな」

 ということで、戦時寺中などは、特に、そういう小説は、新刊として発行することはできず、過去の本も、廃版ということで、出版規制がかけられたのだ。

 何しろ時代として、英語というものを、

「敵国の言葉」

 ということで、使用することは許されなかった。

 今の時代でいわゆる、

「放送禁止用語」

 というものは、基本的には、

「使ってはいけない」

 ということになっているが、それはあくまで、

「倫理的な言葉」

 ということで、

「法律的なこととしての、縛りはない」

 ということである。

 しかし、戦時中は、

「治安維持法」

 などに守られて、明らかな、

「法律違反」

 ということで、

「許されない」

 というよりも、

「罪を犯したのだから、罰則がある」

 ということで、出版したりすると、逮捕され、

「特高警察」

 というものから、

「拷問を受ける」

 ということになってしまうのだ。

 そんな時代には書けなかった小説であるが、戦争が終わり、

「民主国家」

 ということになった時点で、出版も許されるようになり、この作家が、

「書きたくてうずうずしていたものを、まとめ始めたのだ」

 ということである。

 ただ、中には、出版できないだけで、自分なりにまとめていたのかも知れない。

「人の目に触れなければいいだけで、自分の部屋の机の中にしまっておいたのかも知れない」

 といえるだろう。

 しかし、時代がそれを許したのだろうあ?

 作家というだけで、下手をすれば、

「特高警察から、目をつけられていた」

 のかも知れない。

 隠し持つとしても、それはある程度難しいことだったのかも知れないのだ。

 そんなことを考えていると、

「戦後なら無難だ」

 ということで、その作家は、

「早く日本が負ければいい」

 と思っていた。

 戦後の混乱も分からないわけではなかったが、今のままでは、

「埒が明かない」

 ということだったので、

「進も地獄、戻るも地獄」

 ということだったのだ。

「悪魔の紋章シリーズ」

 と銘打って発刊された本も、今の令和の時期では、もう見ることもない、

 これこそが、

「都市伝説」

 として、一時代を飾ったといってもいい、

「悪魔の紋章」

 だったのだ。


                 (  完  )

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「悪魔の紋章」という都市伝説 森本 晃次 @kakku

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