祈りは灰に、言葉は風に――後宮の終焉を見つめて

闇に沈む後宮の静けさが、まるで墨で描かれた夢のように胸を締めつける――。

『後宮の弔い人』は、死者と共に生きる女官のまなざしから、愛憎と因果が絡む世界を静謐に描いた逸品です。雪月さまの「亡者は生者を殺せない」という一言が、読後に深く残ります。

炎にくべられる日記の灰のように、私たち読者の心にもゆっくりと痛みと祈りが降り積もることでしょう。