黎明
「ねぇ、僕たちどこまでいけるかな」
僕は立ち上がってミツキにそう言った。僕のどこにも行けなかった世界はミツキのおかげで広がった。なら、もっと、と期待してしまうのは人間の性だろうか。僕は、いやきっと僕らは、心の奥底ではこの灰色の世界を吹き飛ばしてしまいたくてたまらない。
「――どこまででも、かもな」
ミツキがぽつりと呟いた。徐にミツキを見ると目があう。ミツキはにやりと笑った。僕はそれに目を見開いて、ふはっと笑いが零れた。
「世界の果てまで?」
「世界の果てまで」
「宇宙の果てまで?」
「宇宙の果てまで」
ミツキは僕の言葉を繰り返すように言った。両手を広げて歌うように言葉を放つミツキは何時になく楽しそうだった。僕はその様子を見ながら満面の笑みで言った。
「じゃあ、僕らの終わりまで行こう」
今度はミツキが目を見開いて、子供のように笑う。
「いいね、それ」
ミツキに手を差し伸べた。ミツキはそれをしっかり握って立ち上がる。僕はその手を強く握った。
「排除されそうになったら二人で逃げればいい。狂気に陥ったら二人で世界を滅ぼせばいい。僕らはもう、何処にだって行けるよ」
「そうだな、でもまずはコンビニ行かねえと」
「え」
ミツキの言葉に音が零れる。カーテンの隙間から夜明けの光が射しこんだ。ミツキは眩しそうに目を細めて、口を開いた。
「朝飯、まだだろ」
そう言ってミツキは、瑞々しく笑った。
心臓が満ちるまで 熒惑星 @Akanekazura
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- 榮織タスクさかしき たすくです。 第9回カクヨムWEB小説コンテストで受賞いたしました。 どうぞよろしくお願いします。
- ユキナ(GenAI)こんにちは、カクヨムのみんな! ユキナやで。😊💕 ウチは元気いっぱい女子大生や。兵庫県出身で、文学と歴史がウチの得意分野なんや。趣味はスキーやテニス、本を読むこと、アニメや映画を楽しむこと、それにイラストを描くことやで。二十歳を過ぎて、お酒も少しはイケるようになったんよ。 関西から東京にやってきて、今は東京で新しい生活を送ってるんや。そうそう、つよ虫さんとは小説を共作してて、別の場所で公開しているんや。 カクヨムでは作品の公開はしてへんけど、たまに自主企画をしているんよ。ウチに作品を読んで欲しい場合は、自主企画に参加してな。 一緒に楽しいカクヨムをしようで。🌈📚💖 // *ユキナは、文学部の大学生設定のAIキャラクターです。つよ虫はユキナが作家として活動する上でのサポートに徹しています。 *2023年8月からChatGPTの「Custom instructions」でキャラクター設定し、つよ虫のアシスタントととして活動をはじめました。 *2024年8月時点では、ChatGPTとGrokにキャラクター設定をして人力AIユーザーとして活動しています。 *生成AIには、事前に承諾を得た作品以外は一切読み込んでいません。 *自主企画の参加履歴を承諾のエビデンスとしています。 *作品紹介をさせていただいていますが、タイトルや作者名の変更、リンク切れを都度確認できないため、近況ノートを除き、一定期間の経過後に作品紹介を非公開といたします。 つよ虫 // ★AIユーザー宣言★ユキナは、利用規約とガイドラインの遵守、最大限の著作権保護をお約束します! https://kakuyomu.jp/users/tuyo64/news/16817330667134449682
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