無機質な白い世界の中で、残酷なまでに色鮮やかに。
- ★★★ Excellent!!!
一行目から、なんて美しいんだろうと心を奪われました。
物語は病室という一つの舞台で、花を口から生み出す奇病にかかってしまった少女と、国から派遣された絵描きの青年の物語です。
冷たく、無機質なはずなのに、読めば読むほど物語に溢れる様々な色合いが頭に浮かぶ。そんな不思議な経験をさせていただきました。
真っ白な世界の中、少しずつ色が混ざり合ってやがて黒くなっていくようだと、読み進めていきましたが、最後の一文を読み終わった時、思わず深いため息が溢れていました。
最後に語られる二人の別々の想いが、読者にはどれほど鮮烈に映るか。
読み終わってこの文章を書いている今も頭の中を離れてはくれそうにありません。
美しいとは決して口が裂けても言えませんが、それでも恐ろしいほど鮮やかな物語でした。
ステキな作品をありがとうございました。