第90話:皆のためにハンバーグを作っていく

 夕食前。


 子供達とサッカーをして沢山遊んだ後、俺は一人で孤児院の食堂へとやって来た。


「さてと。それじゃあ何の食材が残ってるか確認していこうかな」


 という事で早速食堂に設置されている食料保管庫を開けてみた。食料保管庫とは元の世界でいう所の大型冷蔵庫みたいなやつだ。


 食糧庫の中には俺がさっき入れておいたワイバーンの肉以外には主食となりそうな物は入ってなかったけど、野菜や卵に牛乳などを見つける事が出来た。それとカチカチになっているけどパンも見つけた。これだけの食材が残っているなら十分だな。


「よし、それじゃあ今日は久々にアレを作っていくとするかな!」


 献立を決めた俺は早速ワイバーンの肉を取り出して細かくミンチにしていった。そして玉ねぎを刻んで炒めていき、さらに卵とパン粉をミンチ肉と一緒にボウルの中に放り込んでいった。


 あとはこれをしっかりとこねていけばメイン料理のタネは完成する。育ち盛りの子供達ばかりだから沢山作ってあげる事にしようかな。


「あ、お疲れさま、セラス君」

「ん? あぁ、アーシャ。お疲れ様。夕飯が出来るまでは少し時間がかかるから、もう少し寝てても大丈夫だよ?」


 俺はボウルの中で食材を混ぜ合わせていってると、食堂にアーシャがやって来た。アーシャは夕食時までひと眠りすると言ってたので、俺はもう少しだけ寝てても良いと言ってあげた。


「ううん、さっきまでグッスリと寝てたからもう大丈夫だよ。今は元気いっぱいだからさ。という事でセラス君のお手伝いにやって来たんだけど、何か私に出来るお手伝いはあるかな?」

「そっか。それじゃあせっかくだから御言葉に甘えてお願いしようかな。このボウルに入った食材をこね合わせて貰っていいかな?」

「わかった。任せてよセラス君!」


 という事でアーシャにはボウルの中の材料をこね合わせる作業を交代して貰った。俺はその間に付け合わせのサラダの準備を始めていった。


「うんしょ、うんしょ。それで? 私、よくわかってないんだけど、これって何の料理を作ってる最中なのかな?」

「あぁ。これはハンバーグだよ」

「ハンバーグ? へぇ、初めて聞いた料理名だなぁ。それは一体どのような料理なのかな?」

「え? って、あ、そうか」


 俺はハンバーグを作っている最中だと言うと、アーシャは初めて聞いた料理名だと言ってきた。


 まぁでもそりゃあそうだよな。この世界は現実世界じゃないんだから、元の世界の料理が全部あるわけじゃないもんな。


 という事で俺はアーシャに向けてハンバーグがどんな料理なのかを簡単に説明していった。


「ハンバーグっていうのは簡単に説明すると、肉をミンチにして玉ねぎやパン粉をこね合わせて焼き上げる肉料理の事だよ。とてもふっくらジューシーで美味しいんだ」

「へぇ、そんなお肉料理があるんだね。名前からして外国の料理なのかな? 初めて聞く料理だけど、何だか美味しそうだね」

「あぁ、物凄く美味しいよ。それに柔らかくてジューシーだから子供達にも食べやすいと思うよ。ワイバーンの肉は結構嚙み応えのある肉だから子供達にはそのまま焼いただけの肉を食べさせるのはちょっと大変だと思うしさ」

「あ、なるほどー。子供達の事を考えて今日の料理を選んでくれたんだね。そんな配慮までしてくれるなんて……ふふ、本当にセラス君は凄く優しいよね。いつもありがとね」

「はは、そう言ってくれると俺も嬉しいよ。そろそろボウルの材料の混ぜ合わせは十分だよ。という事で一旦ボウルを俺に返してくれるかな?」

「うん、わかった。それじゃあボウルを返すね。次は私は何をしたら良いかな?」

「ありがとう。後はこれを焼いていけば完成だから……それじゃあ次はお皿の準備をお願いしても良いかな?」

「うん。わかった!」


 という事でそれからも俺とアーシャは一緒に和やかな雰囲気で料理を進めていった。


◇◇◇◇


 それから程なくして。


「よし、これで完成だ!」

「おぉ、これがハンバーグという料理なんだね! 凄く美味しそうな匂いがしてるね! これは絶対に美味しいやつだ!」

「そっかそっか。美味しそうだと思ってくれたなら良かったよ。それじゃあ温かい内にさっさと料理のお皿をテーブルに並べていくとするかな」

「うん、そうだね。そろそろ晩御飯の時間だから子供達も食堂に集まって来ると思うし、早く並べていこう!」


 という事で俺達はハンバーグが乗ったお皿をすぐさまテーブルに並べていった。そしてテーブルにお皿を並べていたその時、お腹を空かせた子供達が食堂にゾロゾロと集まって来た。


「おっ、皆ちょうど良いタイミングだな。ほら、晩御飯出来たぞー!」

「うん! て、わわっ! 何これ凄く美味しそー!」

「本当だ! 初めて見る料理だね! 何だか凄く良い匂いもするよ!」

「うわー、早く食べたいー!!」


 集まって来た子供達はすぐにテーブルに座っていきながら、俺の作ったハンバーグを見て感嘆の声を漏らし始めていった。


 そして全員分のハンバーグの乗ったお皿を並べ終えたので、俺とアーシャも子供達と一緒にテーブルに座っていった。


「よし、それじゃあ皆も集まった事だし……温かい内に食べようか」

「うん、そうだね。それじゃあ皆手を合わせて……いただきます!」

「「「いただきますっ!」」」


 アーシャの号令と共に子供達はしっかりと手を合わせながら元気よくそう言った。院長先生とアーシャの教育が行き届いている証拠だな。


 そしてそれから子供達は皆すぐにハンバーグを口に入れ始めていった。


(さてさて……皆の反応はどんな感じだろうな?)


 俺は子供達の評価がどんな感じか気になって子供達の方に視線を送ってみた。すると……。


「もぐもぐ、もぐもぐ……お、美味しいっ!」

「うん、すっごく美味しいよ! それにこんなに柔らかくて美味しいお肉を食べたのは生まれて初めてだよ!」

「本当本当! すっごく美味しいよ! お兄ちゃん凄い!」


 そう言って子供達は皆嬉しそうに表情をしながら俺の作ったハンバーグをもぐもぐと食べていってくれていた。こんなにも嬉しそうな表情で食べてくれるんだったらいつでも作ってあげたくなるよな。


 そしてそんな嬉しそうな子供達の表情を見ているのは俺だけではなくアーシャもだった。アーシャも子供達が嬉しそうにハンバーグを食べてる様子を見ながら優しく微笑んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゲームの悪役に転生したけど処刑されたくないからゲーム知識を駆使して真面目に楽してノンビリと生きていく。 榊原イオリ @siratamak

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画