Episode2 大学での受講風景(笑)



○大学・大講堂(朝)

    経済学の講義中。

    後方の席で。一条彩花が右、アリス・バートンが左の位置で座っている。

    彩花、スマホをガン見し、貧乏揺すりしながら小声で呟く。

   (バックSE:可能であれば講義中の先生の声など)※開始

   (SE:彩花が貧乏揺すりをする音)


彩花 「……あと1分。あと1分」


    アリス、ノートパソコンでメモをとっていたが隣が気になって横目で見る。

   (SE:アリスがノートパソコンのキーボードを叩く音)

    アリス、小声で彩花に話し掛ける。


アリス「ちょっと。ここ試験に出るよ?」


    アリスが話し掛けるも彩花は無視。


アリス「(溜息)はぁ……」


   (SE:アリスが軽く肩を叩く音)


アリス「ねー聞いてるの?」

彩花 「プリーズ、ビークワイエット。

    アタシワ、イマ、メッチャイソガシイ。オーケー?」


    彩花、スマホを凝視したまま雑に返す。


アリス「ふぅーん……あっそ」


    アリス、眉間に皺を寄せ、再びノートパソコンでメモを取り始める。

   (SE:アリスがノートパソコンのキーボードを叩く音)

    そこで時刻が12時になる。唐突に彩花が大声で叫ぶ。

   (バックSE:12時を告げるチャイムの音)※開始


彩花 「きたきたきたきた!」


   (バックSE:12時を告げるチャイムの音)※フェードアウト

    彩花、猛スピードでスマホを操作し始める。

    周囲にいた生徒が彩花とアリスの方をチラリと見る。

    彩花は画面を連打。アリス、固まる。

   (SE:少し周囲がそわそわする喧騒)

   (SE:可能であればスマホの画面を連打する音)

    教授もチラリと見たところで、アリスが彩花の体を揺らす。

    アリス、声を抑えて、懸命に彩花の奇行を止めようとする。

   (バックSE:可能であれば講義中の先生の声など)※終了

   (SE:アリスが彩花の身体を揺らす音・衣擦れ音など)


アリス「ちょっと⁉ 講義中なんだけど⁇」

彩花 「ッチ。初動失敗。サイトに入れない‼」

アリス「はい? そんな話してないんだけど⁇」


   (SE:アリスが彩花の身体を強く揺らす音・衣擦れ音など)


アリス「ねー聞いてる?」

彩花 「大丈夫。大丈夫だ、アタシ。まだここから挽回できる!」

アリス「ねぇー‼ 私の話聞いてくれる⁉⁉ てか何してるの⁇⁇」

彩花 「あぁーもう、うるさいなぁーオカン」

アリス「誰がオカンだ!」

彩花 「見て分かるでしょうが」

アリス「分かるか!」

彩花 「分かれ、理解しろ‼」

アリス「サボり魔が1人いることしか分からないんだけど⁇」

彩花 「かぁ〜〜これだから真面目ちゃんわ」

アリス「はぁ⁇」

彩花 「限定スニーカーの抽選に決まってるでしょうがぁ‼」


    彩花の発言にその場にいた全員、沈黙。

    数秒間の沈黙後、彩花がスマホを連打する音が響く。

   (バックSE:可能であればスマホの画面を連打する音)※開始


彩花 「アクセス制限なんか知るか。絶対買う」


    アリス、ゆっくりと顔を上げ、微笑む。


アリス「スマホ、没収」


   (バックSE:可能であればスマホの画面を連打する音)※終了


彩花 「え? ちょ、邪魔するんじゃねぇー‼」

アリス「Shh, please be quiet」

彩花 「あ?」

アリス「今、講義中」

彩花 「意趣返しか、コンニャロ! 表出ろ‼」

アリス「ちゃんと講義聞くまで、お母さん返しませんからね!」

彩花 「うるせぇ、ババア。とっとと返せ!」

アリス「まぁー。そんな悪い言葉どこで覚えてきたの。

    お母さん、そんな子に育てた覚えはありませんよ‼」

彩花 「よーし、分かった。茶番は止めよう」

アリス「茶番始めたの、あなただけどね」

彩花 「争っても何も生まれない」

アリス「争いを生んだの、あなただけどね」

彩花 「丁寧に、誠心誠意敬意を払って。ちゃんと言うよ」

アリス「何かな?」

彩花 「お願いです、ババア。スマホを返しやがれ」

アリス「う〜〜ん。大学の前に小学校からやり直そうか〜」


   (SE:教授が黒板を軽く叩く音)


アリス&彩花「「あ」」


   (SE:2人がちゃんと椅子に座り直す音)


アリス「申し訳ございません」

彩花 「すみません」



《続く》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る