第2話
朝の光が薄く差し込む教室で、彼女は窓際に座っていた。陽の光が彼女の髪を輝かせ、その陰影が長いまつげの間から漏れ出す。僕はその姿を見つめながら、自分が何を考えているのか、自分自身に問いかけるしかなかった。
「おはよう、悠真」
彼女が僕を見て微笑む。その微笑みが、どこか遠い世界から届けられたかのように感じられる。僕はその笑顔に応えながらも、心の中で別の声がささやく。
(本当にこれでいいのか?)
彼女の存在は、いつも僕の心を揺さぶっていた。彼女と過ごす時間は、まるで夢の中にいるようで、現実の中で交わす言葉や視線のすべてが、どこかぼんやりとした感覚に包まれていた。
クラスの中で、彼女と僕はごく普通の友人のように振る舞っていたが、その関係の中には、深い海のような暗い影が潜んでいた。彼女が友達と楽しそうに話しているのを見ながら、僕はどうしてもその陰りが気になって仕方なかった。
「ねえ、今度の週末、どこかに行かない?」
彼女が突然提案してきたその言葉は、僕の心の中に微細な波紋を広げた。僕はその提案に応じるつもりでいたが、同時にどこかでその提案に躊躇していた。彼女との関係が、いつも不確かで曖昧なままでいることに、僕はどこかで不安を抱えていた。
「うん、いいよ。どこに行こうか?」
僕はできるだけ自然に答えたが、心の中では別の感情が渦巻いていた。彼女との関係がどこへ向かうのか、そして僕がそれにどう向き合うべきなのか、はっきりとした答えが見つからないままだった。
その日の放課後、僕たちはいつものように帰り道を歩いた。道端に咲く花が、まるで僕たちの気持ちを映すかのように風に揺れていた。彼女が話す内容は、無邪気で楽しいものであったが、僕の心の奥底には、彼女が何を考えているのか、どんな未来を描いているのかという疑問が渦巻いていた。
家に帰ると、僕は窓の外に広がる夕焼けを見ながら、自分の心の中にあるもやもやとした感情を整理しようとした。彼女との約束が、ただの友達としてのものなのか、それとももっと深い意味があるのか、その答えを探すための冒険が、これから始まることを感じていた。
その時、ふと気づいた。彼女の目の奥に潜む、あの謎めいた光が、僕たちの関係をもっと複雑にするのかもしれないと。僕はその答えを知るために、心の準備を整えなければならないと強く感じた。そして、その答えを見つけるための旅が、僕たちの間に何かを変えるのだろうか。
薄明の旋律 神和(しんわ) @nanacho3000
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