大嫌いで、大好きなグミになりたくて

好きな人の好きなものを好きになりたいという気持ち。
微かにもたらされた不確かなものだとしても。
その人の欠片みたいに、必死に掴んでは大事に抱えるのです。

私の好きな人であるKはグミが好き。
それを知って以降、私はグミを食べ、グミを作り、グミのことだけに時間を使うようになる。好きでもない、むしろ嫌いなくらいなグミと向き合う日々。
全てはKに自分を無条件で好きになってもらうために……。

本作は好きな人へ向ける鬱々とした想い。
愛情を通り越し、もはや狂気と化した感情が鮮烈に表現されていました。
恋は盲目といいますが、後から思い出すと馬鹿げていることも、あの時はそれが正しいことだと信じて疑わない。
周りの声も何も自分に届かない。嘘みたいな原動力だけで動く時の無敵感はとてつもないですよね。

私はKに食べられるという目的を達成することができるのか。
是非、狂気溢れる主人公に触れてみてください。

素晴らしい作品をありがとうございました。