記憶に対する違和感

魂のありか。
脳に宿るものだとすると。
もし、記憶を無くしてしまったら、私は私ではなくなるのでしょうか。

舞台は21xx年。
アンドロイドの女性と暮らす、古いものを好む男性。彼女は覚えがあるはずのものを覚えていなかったりと、自身の記憶についてAIらしからぬ疑問を抱くのだが……。

本作はアンドロイドの女性の目線で進んでいきます。
簡潔に分かりやすく書かれた文章には、自然と無機質な機械らしさのようなものを感じました。それがまるで、物語の世界に入り込むきっかけになっているようでした。

記憶と自分。
私を私と定義するものとはなんなのかを考えてしまうような、ワクワクする展開でした。物語に散りばめられた言葉を注意深く読むことで、ラストシーンがもっと面白くなるはずです。

素晴らしい作品をありがとうございました。