In heart
姫野光希
In heart
私がハートの女王に成り変わる刻
Ⅰ 白うさぎとティータイム
この世界は、別世界から“不思議の国”と呼ばれていた。
そして、この世界には一つしかないトランプの治める国があり、この世界で一番高い場所に立つハートのお城に住んでいて、この国の実権を握っているのはハートの名を持つ者である。
この国で、このお城で一番偉いのは“ハートの王”と“ハートの女王”である。
不思議の国、ハートのお城の奥にあるお庭。
ここはハートの女王専用のお庭である。赤ばかりの表のお庭とは違い、色とりどりの花達に囲まれて、ティータイムを楽しんでいたのはこの国の最大権力保持者であるハートの女王だ。
ハートの女王の隣で女王のお気に入りのローズティーを入れているのは、このハートのお城で働いていて、ハートの女王の世話をしている白うさぎだ。
「どうぞ、女王様。本日はホワイトローズを用意しました」
まるで執事の様な振る舞いをしている白うさぎ。本職は執事ではないのだが、彼はいつも人型で仕事をしている。
「ありがとう、ハクヤ」
ハートの女王は嬉しそうに白うさぎに礼を言うと、大好きなローズティーの香りを楽しんでから口にティーカップを運んでいた。
「ハクヤのいれるローズティーは、いつもおいしい…」
「ありがとうございます、女王様」
ローズティーと可愛らしいお菓子達を楽しんだハートの女王はじーっと、少し不満そうに隣に控える白うさぎに視線を向けている。
「分かったよ、リデル」
白うさぎは諦めたように言うと、パッと姿を人型から本来の白いうさぎの姿へと戻した。
そして、自分の膝の上へと手招きするハートの女王を見上げ、ピョンッとハートの女王の膝の上へと大人しく収まった。
「やっぱりハクヤはこっちの姿の方が好き」
もふもふとした可愛い、かわいい白うさぎを必用以上に撫で回して、何度も何度も熱烈に抱き締めて…ハートの女王は嬉しそうに笑っていた。
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