第十七話 きっと光がある

(もうすぐ、地上に出られそうだな)

 同時に、進さんがオレへ向けて言ってくれた言葉を思い出す。


『こんなことは間違っている』


(家族を亡くしてからこの六年間、誰一人オレに言ってくれなかった言葉……)

 そうだ。一人になったオレに、家族のように間違いを正してくれる人は、伯父も伯母も含めて誰もいなかった。

 オレは本当に独りだった。


 だから――


 あの時の進さんの言葉が、オレの心に強く響いた。

過去人の死は変えられない。過去あやまちは変わらない。……でも、オレのために怒ってくれる人がいたことに気づけて、本当に良かった)

 迷いのない足取りでオレは階段を上っていく。

 段々と空が見えてくる。

 オレたちを待つ空は光葉雪が終わった真っ暗な夜空。

 けれどオレは光を纏った瞳で進み続ける。


「早く行きましょう! 進さん!」


 かつて、孤独と恐怖にまみれていた少年オレはもうどこにもいない。


 そこには、光のように進む青年がいた。

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世界の樹 ふぶき @fubuki_yuyu88

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