サボりの美学。故にこちらも真摯に紳士たれ。

今浸っている読後の余韻がとても心地いいです。

本作のヒロインはサボり魔を自称しているけれど、実際には何事にも熱心で、ひたむきな女の子です。
タイトルどおりダウナーなアンニュイ感はありますが、決してやさぐれているとか、ひねくれているというわけではなく。
もはや美学といって差し支えないほどに信念を持っているからこそ、言動もどこか大人びています。
そのため時折垣間見せる恋愛観も、どこまでが素なのか、はたまたすべて計算づくでからかっているのかわからず。見透かされているようにさえ感じます。
言葉選びが秀逸なんですよね。下ネタっぽいのに下品じゃない、絶妙なやらしさ。

なんといいますか、一般的なASMRのようにニヤニヤしながら「デュフフ♪」とオタク笑いを浮かべて聴くというよりかは、
しっとりゆったりと、雨音に耳を傾けるように、紳士的な心持ちで小夏と向き合わなければならない気がして、私にとっては新しい感覚でした。
静に感じるドキドキ。けれど大人の恋と呼ぶにはまだ青い、甘酸っぱい同盟関係。

とても素敵な夏を堪能させていただきました。ありがとうございます。ご馳走様でした!