とても舌触りの良い毒のような物語

なんだろうかこれは。
最初は変わった、しかし刺激があって美味しい料理だとどんどん食べ進んでいく。

ある時、これは毒なのではと自覚し始める。
でもその時には毒の味が忘れられず、死ぬだろうとわかってても食べ続けてしまう。

〜〜〜

そんな読後感を味わえるお話です。


どこか乾いていて、それでいてウィットに富んだ例えで人物や世界のアレコレを表する主人公の一人称は、それだけでも読んでいて楽しいです。
個人的には人物評としては「プロ○○」が一番刺さりましたし、大学時代の振り返りもブッ刺さりました。

出来事を流れで全て語らず、良いタイミングで急に振ってくる書き方も、何回か続くと行間が気になってドキドキさが増していきます。

それだけでも充分読み応えのあるテクニックがまさか釣り餌でしかなく、本当の面白さが遅効性の毒のように仕込まれている感じに気づいた時は驚きでした。
ああ怖い、と思いました。

得体の知れない宇宙人と日本語で会話をし、単語は合っているがどうにも重大な意味の取り違いをしているような、そんな感覚も覚えさせられます。

そして、それらの気づきでさえ仕込みであるような、まだ何かある、そんな気がして読み続けてしまうのです。

ここまでの感想は一部末時点です。
そして二部が始まってすぐにまた驚きをもたらされます。
より一層の不気味さを表してくる。
続きが気になり、そして恐ろしい。そんな気持ちで読み進めています。

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