薄暗がりの中で嗤う、その『部屋』は。
- ★★★ Excellent!!!
まるで白昼夢のような記憶。
懐かしい田舎道を走り、辿り着いたのは
古く大きな日本家屋。笑顔で迎えてくれる
祖父母は、相変わらず元気そうで。いつも
通りの真夏の帰省。何一つ変わらない
風景の中に、
切り取られたような 異質 が。
薄暗がりの廊下の、端に。古い木枠に
縁取られたその部屋が、ほんの少しだけ
開いている。
いや、閉ざされている。
開いていた。
確かに、在った。
黄土色の壁の中に
薄暗がりのなかに
堅い木戸の、その中 に。
それは『開かずの間』だった筈だ。
それは『普通の和座敷』だっただろう?
それは『開かずの間』だった。
それは『 』だったよねぇ。
否、それは。
薄暗がりから囁き合う、声。