消えた非ずの間の謎と、数えきれないほどのおぞましい目が見つめる恐怖。

この作品は、平穏な日常が非ずの間の扉を開けると、その中に潜む不気味さや不可解さが表出する光景を巧みに描いた怪談です。

特に、祖母の言動が一貫しない点や、最後に部屋そのものが消えてしまうという不可思議な展開が、強い不安感と謎を残します。 読んでいるうちに、現実と幻想の境界が曖昧になり、まるで自分自身がその恐ろしい場にいるかのような錯覚を覚えます。

この物語は、突然襲われる恐怖ではなく、じわじわと怖さが迫る怪談話です。忍び寄る冷たい手で心の中を撫でられるように恐ろしさが広がります。 読み終わっても、その白昼夢のような不気味さが心に余韻を残し続けることでしょう。恐ろしさが余韻に残る素晴らしい作品をありがとうございました。

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