第12話

妖國と里姫は、花緒の思い出や作品について共に語り合う時間を重ね、徐々に惹かれ合っていった。ある日の夕暮れ、二人が並んで歩く静かな公園で、妖國はふと花緒と過ごした日々を思い出し、胸が締め付けられるような懐かしさと少しの切なさを感じる。そんな彼を見て、里姫はそっと手を握り、優しく微笑みながら言う。


「私も、あなたとこうして出会えたのは姉のおかげなのかもしれない。姉の思いが、私たちを繋いでくれたのかなって…」


その瞬間、妖國の心に花緒の優しい声が蘇り、まるで彼女がそばにいるかのような錯覚を覚た。二人の間に静かな空気が流れ、里姫の微笑みの中にかすかに花緒の面影が重なる。




「君と出会えたことが、花緒との思い出を新しい形で生かしてくれた気がする」


妖國は彼女の手をぎゅっと握り返した。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

二つの心、一つの雨/美術の海辺 紙の妖精さん @paperfairy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画