第12話
妖國と里姫は、花緒の思い出や作品について共に語り合う時間を重ね、徐々に惹かれ合っていった。ある日の夕暮れ、二人が並んで歩く静かな公園で、妖國はふと花緒と過ごした日々を思い出し、胸が締め付けられるような懐かしさと少しの切なさを感じる。そんな彼を見て、里姫はそっと手を握り、優しく微笑みながら言う。
「私も、あなたとこうして出会えたのは姉のおかげなのかもしれない。姉の思いが、私たちを繋いでくれたのかなって…」
その瞬間、妖國の心に花緒の優しい声が蘇り、まるで彼女がそばにいるかのような錯覚を覚た。二人の間に静かな空気が流れ、里姫の微笑みの中にかすかに花緒の面影が重なる。
「君と出会えたことが、花緒との思い出を新しい形で生かしてくれた気がする」
妖國は彼女の手をぎゅっと握り返した。
終
二つの心、一つの雨/美術の海辺 紙の妖精さん @paperfairy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます