第11話
夕暮れの静かな庭。妖國と里姫は並んで座り、少し風が吹くたびに秋の花が揺れている。淡いオレンジ色の光が二人の顔を優しく照らし出す。
妖國「…こうしてると、不思議だね。花緒と一緒にいるような気がしてくるよ。」
里姫は穏やかな微笑みを浮かべ、目を伏せる。そして、静かに口を開く。
里姫「私も、そう感じるの。姉がここにいるって。あの人が、妖國さんと一緒に生きていくことを願ってるんじゃないかな。」
里姫の瞳がふと遠くを見るように、何かを見つめている。その時、彼女の声がまるで花緒のように響き渡る。
里姫(花緒の声が重なるように)「妖國さん…ずっと、私を想っていてくれてありがとう。あなたがいるから、私もここにいられる。」
妖國の目に涙が浮かぶが、彼は静かに笑顔を見せる。彼女の言葉が胸の奥深くに響き渡り、失われたものがひとつになっていくような感覚が湧き上がる。
妖國「花緒…君は、ずっとここにいるんだね。僕はこれからも君と一緒に歩いていくよ。」
二人は見つめ合い、まるで時間が止まったかのように、心が一つになっていく瞬間を感じていた。里姫の姿の中に宿る花緒の魂が、妖國の中に深く刻み込まれる。
やがて、風が優しく吹き、庭の花々が軽やかに揺れる。その揺れはまるで、花緒の笑顔がそこにあるかのようだった。妖國は、その微笑みを胸に抱きしめた。
妖國は、花緒が常に彼の心の中で生き続けていることを感じ、里姫とともに穏やかで平和な日々を歩んでいく。花緒の魂は永遠に二人を見守り、そして彼らの人生を優しく彩り続ける。
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