5 そうして輪廻は巡る
こうして僕は、高い峰に住まう火の神——
竜神に命を救われたエイの子孫が代々、
時が過ぎると、僕が里に姿を現したことは事実というよりも神話の一部として語り継がれるようになり、
岩に覆われた小山の頂上。里を見下ろすことのできるこの場所に、その社はある。僕は今日も岩場に座して、里を見守っていた。
人々に必要とされて、僕は満たされていたけれど、消えない孤独を抱えてもいた。永劫の時を生きる火の神。それは永遠の独りを定められた存在であり……。
「あなたは……峰様ですか?」
透き通るような声がした。振り返るとそこには、驚きに頬を強張らせた少女がいた。
「僕の姿が見えるのか」
答えると彼女は、少しほっとしたように表情を緩め、微笑みながら僕の前に膝を突いた。
「ああ、やはり
ふわり、と微風がヒナの髪を揺らした。どこかで嗅いだことのある、桜の花のような甘い香りがした。
<番外編 おわり>
前世で仕えた竜神様に執着されているみたいです⁉︎ 平本りこ @hiraruko
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