真夏の、嘗て山奥の集落であった怪異譚。蝉の鳴き声が囂しく響く山の中に、碧く澄んだ冷たい淵がある。そこは集落の人々が日常的に訪れては釣りをしたり水遊びに興じたりと、至極普通に生活の一部となっているが…。古き佳き時代の寛容さと、実際にはどういうものかはわからないが誰もが皆、普通に認識していた『妖怪』が、確かに息づいていた時代のノスタルジックな怪談。結局は、怪異とは 正体の知れぬ もの。それを思い出させてくれる短編。暑い夏の一服の涼。
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