アンダーコントロール

あらすじ（最後まで）

　東日本大震災と原発事故から一年が経とうという頃の、二〇一二年二月、福島県郡山市。コンビニバイトと、依存的で過保護な母から公認の女装配信が生活の全てだった狭間ギリコは、あるみぞれの夜、自分と同じ十九歳の二人に出会った。真木メグと、門馬ユーダイ。二人は、「恋人よりずっと幼稚で激しい関係」。そのときメグがギリコにつけた痣が、二人の関係にギリコを引き込んだ。
　ギリコが父方の祖父の世話をしに出掛けた日、ユーダイは彼と再会する。その祖父の、ギリコの父への経済的な依存や、ギリコに対する粗暴な態度をユーダイは知ることとなった。ユーダイはそのことを、両親とともに浪江から避難してきて住んでいる手狭なアパートからメグに電話する。メグはインテリの父、認知症の祖母、震災後娘と義母に暴力を振…続きを読む