あの夏の出来事は、幻なんかじゃなかった。

 落ち着いた雰囲気の高校生の主人公は、女子生徒と同じ体験を通じて仲を深める。その現象とは、虚像が実像とは違った動きをして、語りかけてくるというもの。まるで、虚像が突如として意志を持ったように。
 この現象の謎を解くために、量子物理学者に二人は相談をする。そこで示されたのは、虚像と実像の関係性や、境界的な問題についてなど、哲学的なものだった。

 一体、二人にだけ起こったこの現象は何なのか?
 ひと夏の静かな冒険。
 そして二人の未来は――?

 量子力学という学問を知らなくても、それが哲学的に解説されることで、とても読みやすい作品でした。

 是非ご一読下さい。