第12話 事件の終焉と祝杯
事件解決の1週間後
氷川光一警部は警視庁の自分のデスクに座り、静かに考えに耽っていた。長く続いた「東海道五十三次連続殺人事件」がようやく終結し、心の中には様々な感情が渦巻いていた。
事件は日本橋で佐々木佑紀の刺殺体が発見されたことから始まった。被害者の周囲には「東海道五十三次の始まりだ」という紙が散らばっており、それが今回の連続殺人事件の始まりを告げていた。氷川たちは直ちに捜査を開始したが、次々と第二、第三の事件が発生した。
品川宿で宮川隼人が「俺の悲しみが分かるか」というメッセージと共に刺殺され、川崎宿では原宮翔太がトラックの爆発で命を落とした。その後の捜査で、全員が同じ学校の同級生であり、過去に「東海道五十三次を巡る夢」を抱いていたことが明らかになった。
最終的に、犯人は徳間裕太郎であることが判明した。彼は、徳間涼介をいじめで死に追い込んだ友人たちへの復讐心から、今回の連続殺人事件を引き起こしたのだった。徳間裕太郎は息子の無念を晴らすため、冷酷な計画を実行に移したのだ。中島啓太は、徳間涼介の新聞の意味の勘違いから悲劇を生んでしまった。
氷川はふと立ち上がり、オフィスの窓の外を見つめた。夏の終わりを告げる夕陽が東京の街を染め上げていた。
「これで、ようやく終わったな……」
その時、オフィスのドアがノックされ、中原淳一警部が顔を出した。
「氷川警部、お疲れ様です。まだ事件解決の祝してなかったんで、みんなで事件解決の祝いをしようということで、焼き肉屋を予約しました。行きませんか?」
氷川は微笑みを浮かべた。「もちろんだ。みんなの努力が実った結果だ。みんなで祝おう。」
その夜、警視庁の仲間たちは近所の焼き肉屋に集まっていた。店内は賑やかで、笑い声と焼き肉の香ばしい香りが漂っていた。氷川、田宮晶子、中原淳一、そして芝岡雄三がテーブルを囲み、ビールのジョッキを掲げた。
「お疲れ様でした、氷川警部。」田宮晶子が言った。「この事件、あなたの指導がなければ解決できなかったと思います。」
「いや、みんなの協力があってこその結果だ。」氷川はビールを一口飲みながら答えた。「特に君たちの迅速な行動と情報収集が決め手となった。」
「確かに、今回の事件は難解でしたね。」芝岡雄三が頷きながら言った。「でも、犯人を追い詰めることができて本当に良かったです。」
「犯人たちもまた、悲しい過去を背負っていたんだな。」中原が感慨深げに言った。「でも、それがまた新たな悲劇を生むなんて……。」
「そうだな。」氷川は深く頷いた。「過去の傷を癒すのは容易ではないが、それを乗り越える力を持つことが大切だ。私たちも、捜査を通じて多くのことを学んだ。」
テーブルには次々と焼き肉が運ばれ、ビールや焼酎が注がれた。皆が笑顔で話し、冗談を交わしながら、事件の重圧から解放された瞬間を楽しんでいた。その時車椅子に乗った石川祥騎が現れた。
「石川さんお体は大丈夫ですか?」
「はい。おかげさまで、もうすぐ退院です、ところで、今日は事件解決を記念して写真を一枚取ろうと思いましてね。いかがですか。」
「じゃぁお願いします。」
「さあ、みんな、乾杯しよう。」氷川が声を張り上げた。「この困難な事件を乗り越えた自分たちに、そして未来の新たな挑戦に向けて!」
「乾杯!」皆が声を揃え、ジョッキをぶつけ合った。その瞬間写真が撮られた。
警部たちの歴史の旅の終結は一枚の写真に収められた。
その夜、警視庁の仲間たちは心からの喜びを分かち合い、共に過ごす時間を大切にした。そして、彼らは次なる挑戦に向けて、新たな一歩を踏み出す準備を整えたのだった。
氷川警部の大捜査シリーズ 東海道五十三次連続殺人と引き裂かれた友情 氷川警部mk @mk0819
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