第11話 決戦の時

氷川光一警部は、警視庁のオフィスに戻り、石川祥騎から託された写真を見つめていた。その写真には、徳間裕太郎の姿が映し出されており、これまでの捜査結果と照合して彼が犯人であることを確信した。氷川はすぐに捜査本部に連絡し、徳間の足取りを追うよう指示を出した。

そしてその確信を確かにするように鑑識の芝岡が証拠を持ってきた

「警部。やりました、徳間の指紋とあの紙の指紋と原宮殺害時の爆破装置の指紋が一致しました。更に徳間が特注でインクを買っていたことが判明そのインクの成分と現場にあったものを照合したところ一致しました。」

「犯人は徳間裕太郎だ徳間は今どこにいる?」

「徳間裕太郎は今朝の飛行機で京都に向かったと確認しました!」中原淳一が焦燥の色を見せながら報告する。


「京都か…」氷川は思案し、次の行動を決意した。「よし、新幹線で京都へ向かう。奴は京都のどこかににいるはずだ。」


新幹線の車窓から流れる風景を眺めながら、氷川はこれまでの捜査と被害者たちの無念を胸に刻み込んでいた。佐々木佑紀、宮川隼人、そして原宮翔太。それぞれの命を奪われた若者たちの夢と未来を思い出し、犯人を捕らえる決意を新たにする。


京都駅に到着すると、中原が興奮気味に声を上げた。「氷川さん、徳間がどこにいるのか想像もつかないですけど、どうしますか?」


氷川は頭に東海道五十三次を思い浮かべた。そして頭にある場所が浮かぶ。氷川は確信を持って答えた。「三条大橋だ。東海道五十三次の終着点だ。」

「そうか、なるほど。」中原が納得する。

「彼は三条大橋で何かを企んでいる可能性がある。」


三条大橋に到着すると、夕日が美しく川面に反射していた。その橋のたもとに、寂しげにたたずむ徳間裕太郎の姿があった。氷川は深呼吸し、慎重に近づいた。


「徳間裕太郎、もう逃げられないぞ!」氷川は毅然とした声で叫んだ。

「あなたは日本橋で佐々木佑紀を呼び出し刺殺し、品川で宮川をアパートで言い争い殺害、そして原宮さんのトラックに爆弾を仕掛けエンジンをかけたら爆発する仕組みにし原宮さんを殺害した。」

「ふん、俺がなぜ原宮を爆弾を爆発しトラック炎上させて殺したか分かるか?」

 「はい、それは涼介くんの日記で明らかになりました。徳間くんの自殺する一週間前の場所には原宮にライターで皮膚を火傷をした。みんなは笑うばかり誰も助けてくれない。とありました、彼だけ爆死だったのは爆弾でトラックを爆発し炎上させ涼介くんの火傷の苦痛を表現したんだな。あとの二人はハサミなどで切りつけられたと日記にありました。なので刺殺なのでしょう。」

「ふん、勝手に涼介の日記を見るとはな。」

「あいつの苦しみはお前らには分かるか。学校や警察にも相談した。だが当時は誰も聞く耳を持たなかった。その後涼介の死で俺の妻は自殺し俺はたった一人苦しみと苦痛を抱えながら生きてきたんだ。」

「あなたの苦しみはよく分かる。諦めて投降するんだ。

 


徳間はゆっくりと振り返り、目に涙を浮かべながら微笑んだ。「俺は3人も殺した。涼介の無念は晴らした、もうこの世に未練はない。」


その瞬間、徳間は橋の縁に手をかけ、飛び降りようとした。氷川は瞬時に駆け寄り、叫んだ。「待て!そんなことをして息子さんが喜ぶのか?」


徳間は動きを止め、氷川を見つめた。氷川は一歩一歩近づきながら、声を和らげた。「君の息子、徳間涼介は君のように命を投げ捨てることを望んでいない。君が生きて償い、彼の名誉を回復することを望んでいるんだ。」


氷川の言葉に、徳間の目からは涙があふれ出した。「涼介…ごめんよ…」


氷川は徳間の手をしっかりと握りしめた。「一緒に戻ろう。そしてすべてを正そう。」


徳間はうなずき、氷川とともに橋から離れた。その瞬間、氷川は深い安堵の息をついた。

 そして徳間の両腕に手錠をかけた。


警視庁に戻ると、氷川と中原、田宮、芝岡は事件解決の報告を行った。

「これで東海道五十三次は終わりだ。」氷川は感慨深く呟いた。」

「石川祥騎は未だ意識不明か。」

 「でも警部、徳間は佐々木、宮川、原宮の殺害は認めましたが。石川さんを襲撃したことについては否認しています。一体どういうことでしょう。」

「それなら心当たりがある。ついてこい。」

 氷川は中原と車に乗り、ある場所へ向かった。

そしてある人の家に到着しチャイムを鳴らす。

 「警部ここって」中原が察する「そうだ」そしてドアが開く

 中から出てきたのは、中島啓太だった「何の用ですか。事件は解決したんじゃないんですか?」

「いいえ、まだ石川祥騎さんが襲われた事件が残っている。犯人は徳間裕太郎ではない。」

「そう、あなたこそ石川祥騎さんを襲撃した犯人です。」

「なに?」

 「あなた、徳間涼介さんの大親友だったそうじゃないですか。あなた中学生時代の友人に聞きました。」

 「あなたの犯行手順はこうだ。」

「まず、あなたは今回の連続殺人で重要な証拠を見つけたと話していた石川さんを神奈川の旧郵便局前に呼び出し

 背後から襲いかかった。違いますか?」

 中島は笑って答える

「ああ、そうだ俺がやった。警部さん知ってるかあいつはな中学生時代唯一無二の友達徳間涼介をバカにし、いじめられてるところを写真におさめて新聞にして学校でばらまいていた。おかげで、涼介は自殺し、涼介が自殺したあと問い詰めたら。

「何?、新聞をばらまくのを取るのをやめろ?俺の取った写真は正義だお前に言われる筋合いはないい」だとさあいつもいじめてるも同然だろ。今回の連続殺人は今まで涼介をいじめているやつが次々と死んでいっただからこの機会に殺そうと思ったんだ」中島は歯を食いしばった。

「中島さん、あなたは一つ思い違いをしている。」

「何?」

「実は、病院で運ばれていたときとき石川さんはこう言いました。」

「犯人が自首するまで俺を刺した犯人の名を明かさないでくれ。あと犯人にはあのとき新聞はみんなに知らせて助けようとしてたんだ。ごめん。」

「つまり、石川さんは涼介さんをいじめるために新聞を書いたのではなく涼介さんがいじめられている実態を他の人に伝えいじめをなくそうとしていたんだと思います。」

 その瞬間中島は膝をついて下を向く

「そんな....馬鹿な石川...。」

 「俺はなんてことを.....」

「あああああああぁぁ」

 そして中原のスマホが鳴る

「はい 中原」

「はい、そうですか」

「石川さんが意識を取り戻したようだ。」

 中島は手錠をかけられ連行された。

 石川の一命を取り留めたときの中島の顔はあの、殺意に満ちた顔ではなく友の心配の感情で溢れていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る