第10話 神奈川宿の襲撃
夜が更ける神奈川宿。石川祥騎は車の中で事件の証拠写真を確認していた。突然、携帯電話が鳴った。非通知の表示に一瞬ためらったが、意を決して受け取った。
「もしもし、石川です。」
「石川さん、貴方に見せたいものがあります。神奈川宿の旧郵便局前に来てください。」
変声期で声を変えているようだった。
「誰だ?一体何を見せたいんだ?」
「時間がありません。来ればわかります。」
疑念と不安が交錯する中、石川は決意を固め、指定された場所に向かった。
旧郵便局前に到着した石川は、車を降りて周囲を見渡した。辺りは静まり返り、人影はなかった。慎重に歩みを進める石川の背後に、忍び寄る足音が迫った。
「誰かいるのか?」
次の瞬間、鋭い痛みが彼の背中を貫いた。振り返る暇もなく、石川は地面に倒れ込んだ。薄れる意識の中で、懸命に襲撃者の顔を見ようとした。
襲撃者が去った後、石川は残された力を振り絞り、救急車に電話をかけた。
石川祥騎の襲撃の報を受けた氷川警部は、すぐに病院に駆けつけた。病室に入ると、石川は酸素マスクを付けてベッドに横たわっていた。
「石川君、大丈夫か?」
石川祥騎はかすかにうなずき、ベッドサイドに置かれたバッグを指さした。
「氷川さんに渡すもの…」石川がかすかに声を出した。
氷川は急いでバッグを開け、中から「氷川さんに渡すもの」と書かれた紙袋を見つけた。中には数枚の写真が入っていた。
すると石川が「話したいことがある...」と力を振り絞って言った。
氷川は耳を近づけ話を聞く。
病院のロビーに戻り、氷川は写真を確認した。そこには、佐々木佑紀、宮川隼人、原宮翔太の関係性や犯行現場の手がかりが鮮明に写っていた。その中には、佐々木が殺害された日本橋での風景写真があり、そこに徳間裕太郎の姿がはっきりと写っていた。
氷川光一警部:「これは…徳間裕太郎が写っている。これで犯人を確保することができるかもしれない。」
「氷川さん、この写真に写っているのは…」
「間違いない、これは徳間裕太郎だ。」
「この証拠を元に、次の行動を考えよう。石川君の勇気が私たちを助けてくれた。」
写真の分析が進む中、氷川たちは一つの結論に辿り着いた。犯人は佐々木佑紀、宮川隼人、原宮翔太の同級生たちの中に潜んでいる。
「犯人は東海道五十三次の旅を象徴する形で殺人を繰り返している。」
「犯行の動機はおそらく彼の息子涼介くんの自殺ですね。」中原が言う
「まずは、これらの写真を元にさらなる証拠を掴むことだ。石川君が命をかけて手に入れた証拠を無駄にしないようにしよう。」
氷川たちは緊急会議を開き、捜査本部で情報を共有した。
「これからは24時間体制で捜査を進める。犯人を追い詰めるためには、全員の協力が必要だ。」氷川が険しい顔で言う
「はい、氷川さん。私たちも全力を尽くします。」
「次のターゲットを守るため、私たちが全力で対応します。」
「犯人を必ず捕まえ、この連続殺人を止めるんだ。」氷川の意思は固かった。
石川祥騎の提供した証拠写真は、犯人を追い詰めるための重要な手がかりとなった。氷川警部と彼のチームは、これらの証拠を元にさらなる調査を進め、次のターゲットを守るための対策を講じた。
犯人との最後の対決が迫る中、氷川たちは一層の警戒を強め、連続殺人事件の全貌を明らかにするために全力を尽くした。
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